2022 Fiscal Year Research-status Report
異常蛋白の伝播、排出経路の解明に基づいたアルツハイマー病治療薬の開発
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21K07423
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
伊藤 義彰 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90265786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 裕子 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 前期臨床研究医 (20815394) [Withdrawn]
三野 俊和 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60597566)
武田 景敏 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90445015)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知症 / アミロイドβ / 多光子顕微鏡 / アストロサイト / glymphatic系 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、血管周囲腔の流体特性を明らかにするため、蛍光標識した4kD、40kD、400kDのデキストラン液 100μMを脳表投与し、投与後3時間までの移動を確認した。この方法では、投与早期にデキストランが深部に達する場合には時間経過を追っての観察が困難となるため、別の経路として脳表に持続灌流法でデキストランを注入する方法を併用することとした。 頭窓を介して二光子顕微鏡を用いたライブイメージング法にて、生体マウスにおけるデキストランの移動を観測した。脳表に滴下したデキストランは穿通動脈、静脈の血管周囲腔に移動した。血管周囲のデキストランはAβとは異なり全周性に分布し、凝集形成は認めなかった。この時、動脈と静脈の移動時間に分布に差はなく、大部分のデキストランの移動は脳表滴下から頭窓作成までの間に完成していた。一方、注入法では、緩徐に物質が移動するのが確認された。 またこれまでの実験はイソフルラン吸入化に行われていたが、イソフルランは血管拡張性に働き脳圧を亢進するため血管周囲腔の描出が低下してしまう可能性がある。麻酔をαクロラロース、ウレタンに変えたが、血管周囲腔は同様に描出された。 こうしたことから血管周囲腔の高分子輸送は、拡散によって起きていることが示唆された。拡散よりも遅いスピードでの対流について可能性は否定できないが、検出されなかった。 以上のデータについては、脳微小循環学会2023にて発表し、現在論文作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため研究発表が制限されたが、研究室での活動は概ね計画通りに行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
血管周囲腔の流体についてはおおよその物理的特性、流体としての特性が特定された。分子量の高い物質ほど移動速度は低下しており、拡散による移動が主体であることが確認された。この血管周囲腔は、動脈周囲の場合血管の拡張、収縮によって遅い対流が起きる可能性がある。今後は、遅い速度の対流について、検出方法を検討する。 また、Aβとならんでアルツハイマー病で蓄積しニューロン障害性に作用するタウ蛋白についてのイメージングも準備中である。rTg4100マウスを購入し、タウの描出、アイソトープラベルしたタウの脳表投与など、プレリミナリーな実験は済んでおり、今後の研究を急いで行う。このほか、αシヌクレイン、TDP-43などの蛋白も脳実質内を伝播することが知られている。二光子顕微鏡にて細胞内への移動、細胞間での移動、蓄積などが観察できないか検討する。
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Causes of Carryover |
次年度の物品費、旅費等に使用するため。
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