2023 Fiscal Year Annual Research Report
重症筋無力症患者における胸腺腫内抗原特異的B細胞の探索
Project/Area Number |
21K07434
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高田 和城 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (20573223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 允 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (10573222)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 重症筋無力症 / B細胞 / 胸腺腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症筋無力症は病原性のある神経筋接合部に対する自己抗体により四肢の易疲労感や筋脱力を来す自己免疫疾患である。疾患診断のための血中の抗体検出は古くからおこなわれているが、自己免疫性抗体産生細胞についてはほとんど明らかとなっておらず、その分化・成熟課程については不明である。これまでの報告より病原性自己抗体産生B細胞は胸腺腫合併抗アセチルコリン受容体抗体陽性重症筋無力症患者では胸腺腫中で分化・成熟することが示唆されている。本研究の目的は病原性を有する自己抗体産生B細胞の機能・分化成熟機転の解析を行うことである。末梢血中のメモリーB細胞を採取し培養を行うことにより末梢血中にもアセチルコリン受容体抗体産生B細胞が存在することを認めた。 次に、抗アセチルコリン受容体抗体陽性胸腺腫合併患者において抗体産生B細胞の分化成熟が行われていると考えられている胸腺腫摘出標本からのFACSを用いたsingle cell sortingおよびRNAシークエンスを行った。採取したB細胞の解析ではgerminal centerを構成する細胞の増加を認め、ナイーブB細胞からメモリーB細胞, 形質芽細胞までのB細胞を認め、B細胞自体の分化・成熟が行われていると考えられた。また末梢血B細胞と比較し胸腺腫中では成熟B細胞の比率が増加しており、末梢と比較し胸腺腫中でより積極的な抗原提示が行われていることが示唆されたが特異的な発現は明らかではなかった。そこで抗原提示をおこなっていると考えられる胸腺上皮細胞の解析も行ったところ、直接の抗原であるアセチルコリン受容体蛋白の発現は検出できなかったがCXCL12などのケモカインの有意な発現増加およびneurofilamentなどの神経発現分子を認め、胸腺上皮細胞による神経抗原の抗原提示により、病原性B細胞の成熟が促進されていると考えらえることが明らかとなった。
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