2022 Fiscal Year Research-status Report
温度感受性受容体を標的とした多発性硬化症環境因子の解明
Project/Area Number |
21K07435
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 允 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (10573222)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 温度感受性受容体 / 中枢神経免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症(Multiple Sclerosis : MS)の病態には遺伝的背景と環境因子が複雑に関与していることが想定されている。環境因子としては、MS発症率は寒冷高緯度地域で世界的に高いことが長年の疫学研究から明らかとなっており、一方で再発頻度には特異的季節集積性が数多く報告されている。免疫細胞には様々な温度感受性受容体が発現し、外的温度変化に応答して全身の免疫動態が変化することが予想されていた。そこで本研究では低温環境における免疫細胞分化の変化、および網羅的遺伝子発現変化の特徴を捉えることを主眼とした。今期はTh17細胞分化、Th1細胞分化、Treg分化条件下での温度変化を低温条件、低温および常温の振動変化条件、高温条件にて解析し、その再現性を確認した。また網羅的遺伝子発現解析変化については、発現変化している遺伝子群のパスウェイ解析を追加し、温度変化のもたらす総和的影響を視覚化した。Th17細胞分化条件では30℃の低温でIL-17産生細胞数は減少する一方で、常温条件下と比較し30℃~37℃の低温および常温振動変化条件ではむしろ、37℃を維持した常温培養条件よりもTh17細胞が増加する傾向を認めた。一方でTh1分化条件については、常温での分化条件と比べて30℃の培養条件ではIFN-gamma産生率の上昇する結果を現在得ている。Treg分化条件についても温度変化による影響が確認されさらなる検証が必要である。なお網羅的RNA-sequenceデータを活用したパスウェイ解析では、cell cycleに関与するものが主要となっており今後さらなる追加検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己免疫疾患において重要な役割を果たす炎症性免疫サブセットの低温環境下における遺伝子発現変化を捉えることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、in vitroでの遺伝子発現変化を網羅的に解析し、ヒト検体を使用した研究推進を行っていく。
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Causes of Carryover |
翌年度にin vitroおよびヒト検体を使用した研究を推進するため。
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