2022 Fiscal Year Research-status Report
カレハ島による、側坐核の直接的間接的制御を介した情動行動への役割の解明
Project/Area Number |
21K07436
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松股 美穂 (酒寄美穂) 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (50595460)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | カレハ島 / 嗅結節 / 側坐核 / 意欲 / うつ病 / アンヘドニア |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、カレハ島(Islands of Calleja; ICj)に対して、人為的操作を加えるためのマウスライン(ICj活性化マウス(D3Cre;ChR2-EYFP)及び抑制マウス(D3Cre;Arch-EGFP))を用い、それらを光刺激するためのオプティックカニューラの設置手術を行った。また、このマウスを用いて行動実験を行なった。さらに、ICjのプロパティーを同定する目的および活動したICj神経細胞の検出を目指して、組織学的解析も合わせて行なった。行動実験では、一般的なバッテリー実験では目立った表現系が見られなかったが、情動に関わる行動実験(意欲的行動や嗜好的嫌悪的学習行動を検出する行動実験)ではICj活性化マウスで表現系が得られた。2023年度はさらにこの点を追求していく予定である。また2022年度内に行ったのはICj活性化マウスのみだったので、ICj抑制マウスについての行動実験を行う。ICjの細胞プロパティーについては、同様に情動に関わることが知られており組織的に近隣に位置する線条体の報告を参考にし、その類似性と相同性を見出した。ICjは線条体同様にVTAからのドーパミン投射を受けるが、ICjの活動にもドーパミンが関わっていることを示唆する知見を得たので、さらにこの点を追求していく。また、2021年度に取得した、ICjの活動を急性脳スライスを用いて可視化する実験をさらにすすめることで、ドーパミンの関与がより詳細に理解できると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時に計画していたカレハ島の側坐核への関与に関して、直接的制御機構についてはこの2年間で順調に進行し、また結果も得られてきている。2023年度はこの計画をさらに進めることで制御機構の一部は明らかにできると考えている。一方で、間接的制御機構に関してはまだあまり成果が得られていない。そのため計画はやや遅れている、とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
1) 引き続きICjの光遺伝学操作マウスを用いた行動実験とその評価を行う。今回の計画では、活性化と抑制の両方の方向への介入実験を計画しているが、現時点では活性化方向での行動実験のデータしか得られておらず、神経活動抑制で逆方向の結果が得られるかがまだわかっていない。この点をさらに追求していく。2) 細胞プロパティーの組織学的解析から、ICjの神経細胞の大部分は既に報告がある通り抑制性の神経細胞である。神経核内投射と神経核外投射のどちらもあるようであるが、まだ投射先を決定できていない。1)の行動実験の表現系が顕現するために、関与する回路や活動を修飾する特定の細胞群を同定して総合的理解に努めたい。現在までの進捗状況でも述べたが、申請書で記載した直接的間接的回路の解明のうち前半の直接的関与については知見が得られそうなので、前半部を先に論文化することも考えている。
|
Causes of Carryover |
調達方法の工夫などにより、当初計画より経費の節約ができたため。 次年度の研究費は、実験に用いる動物飼育、光遺伝学解析備品などの消耗品購入、抗体などその他の本申請実験に関わる経費に使用する予定である。また学会発表の ための旅費、論文投稿料、英文校閲費も使用予定である。
|