2022 Fiscal Year Research-status Report
ネクロトーシスをトリガーとした異常型プリオン蛋白質産生メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K07462
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原 英之 徳島大学, 先端酵素学研究所, 助教 (40469953)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プリオン / ネクロトーシス / 神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
プリオン病は、健常神経組織に発現する正常型プリオン蛋白質が、プロテアーゼK(以下、PK)抵抗性の異常型プリオン蛋白質に構造変換し、中枢神経に蓄積する神経変性疾患であるが、その分子機構は不明であり、治療法も存在しない。研究代表者は、マウスの神経細胞に神経病原性のインフルエンザウイルス(以下、IAV)を感染したところ、正常型プリオン蛋白質が異常型プリオン蛋白質に変換することを発見している。さらに、異常型プリオン蛋白質が、なぜIAV感染により産生されるのか調べたところ、IAVが感染した神経細胞は、プログラム細胞死の1つであるネクロトーシスを惹起していた。そこで本研究では、ネクロトーシスが異常型プリオン蛋白質産生のトリガーとなりえるのかを明らかにすることで、異常型プリオン蛋白質産生メカニズムを解明する。 (1) まず、ネクロトーシスの構成因子であるRIP1、RIP3およびMLKLをノックアウト(以下、KO)細胞を作製し、異常型プリオン蛋白質を感染した。その結果、MLKL KO細胞では、MLKLが発現している細胞と比べて、異常型プリオン蛋白質の産生が抑制することがを明らかした。一方、RIP1、RIP3 KO細胞では、現時点で異常型プリオン蛋白質の新規産生は確認できていない。 (2) IAV感染と同様に、薬剤を用いてネクロトーシスを惹起することで異常型プリオン蛋白質を産生できるかどうか検討した。残念なことに、ネクロトーシスを惹起しただけでは、異常型プリオン蛋白質は産生しないことが明らかになった。そこで、IAV感染では細胞に供給されるが、薬剤を用いたネクロトーシス惹起では細胞に供給されない分子の探索を行った。その結果、RNAや脂質が候補分子であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
KO細胞の樹立に時間を要し、異常型プリオン蛋白質の感染実験開始が遅くなってしまったこと、また、ネクロトーシス以外で異常型プリオン蛋白質の産生に関与している分子の候補としてRNAや脂質の関与を明らかにしているが、具体的な分子の同定には至っていないことから、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 現在進行中のRIP1、RIP3およびMLKL KO細胞への、異常型プリオン蛋白質の感染実験を継続する。 (2) 異常型プリオン蛋白質の産生に関係する分子を、現在行っている解析を継続することで同定する。
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Causes of Carryover |
KO細胞の樹立に手間取り、異常型プリオン蛋白質の感染実験の解析が進まなかったため、次年度繰越使用額が生じた。そのために発生した繰越使用額は、翌年度として請求書した研究費と合わせて、今後、異常型プリオン蛋白質の感染実験の解析費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)