2021 Fiscal Year Research-status Report
ステロイドホルモンならびにペプチドホルモンによるうつ病難治化機序の解明
Project/Area Number |
21K07478
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 雄太郎 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (60377158)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | うつ病 / 治療抵抗性 / 耐糖能異常 / IGF-1 / DHEAS / 自殺リスク / 再発 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病患者の約30%が抗うつ薬治療に抵抗性を示すことが知られているが、その病態メカニズムはいまだ明らかにされていない。加えて、うつ病では、再発や自殺リスク、耐糖能異常も患者の生命予後に関わる問題として軽視できない。これらの病態を解明し、予測手段や治療法を確立することは我々の急務であり、既存の病態仮説や向精神薬とは異なるアプローチが必要である。そこで、本研究では、近年うつ病との関連が示唆されてきているホルモンに着目し、うつ病の治療抵抗性、耐糖能異常の機序および再発・自殺に関連するバイオマーカーの探索を行うとともに、治療抵抗性症例に対するホルモン補充療法の有効性・安全性を検討することを目的とした。 サンプリングは順調に進んでおり、非寛解状態のうつ病患者のhomeostasis model assessment-IR (HOMA-IR)が血清IGF-1値と正の相関関係にあること、治療抵抗性うつ病患者の血清IGF-1値は健常者や寛解者と比べて有意に高く、ベースラインの血清IGF-1値が高いほうが抑うつ症状の改善が得られにくいこと、うつ病の寛解者は血清DHEASが減少するが、治療抵抗性うつ病は健常者と有意差はなく、ベースラインの血清DHEAS値が高いほうが抑うつ症状の改善が得られにくいことが明らかになった。これらの結果から、うつ病の治療抵抗性、耐糖能異常にホルモンが関与し、ホルモンがこれらの因子の予測マーカーとなり得る可能性が示唆された。現在、これらの研究成果をまとめて、海外誌への投稿を予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響によりサンプリングの中断を余儀なくされていた時期があり、当初想定していたよりも症例は少なくなっているが、治療抵抗性のうつ病と関連するホルモンやうつ病の耐糖能と関連するホルモンが明らかになってきており、海外誌への投稿準備を進める段階にまで至れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
得られた研究成果について、学会報告や海外誌への投稿を積極的に行っていく。 今後もエントリー数を増やしていき、横断面だけでなく縦断面でも評価を行い、各ホルモン間のバランスや治療経過でのホルモン値の変動、ベースラインのホルモン値の差異と治療経過の関連などを含めて解析していく予定である。
|