2021 Fiscal Year Research-status Report
聴覚変化応答と脳内抑制系を標的とした双極性障害の神経認知の探索
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21K07480
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
元村 英史 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10324534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 幸二 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害システム研究部, 部長 (70262996)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 双極性障害 / 脳波 / 脳磁図 / 変化関連脳活動 / 抑制系 / 聴性定常反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
取り巻く環境の感覚情報の変化を速やかに捉える変化応答や溢れる情報を必要に応じた入力制御は、生存に必要な基本的かつ不可欠な情報処理です。連続音の途中で音特性を変化(テスト刺激)させると変化関連脳活動が誘発され、脳波や脳磁図で明瞭に記録できる。音特性変化に先行してわずかに音特性を変化(プレパルス刺激)させると、この変化関連脳活動は減弱することから、抑制系を直接的な脳の挙動を捉えることができます。聴性定常反応(auditory steady state response: ASSR)の位相も突然の音特性変化で一過性の速化を示します。本研究では、健常者を対象としてこれら脳内情報処理活動の機序を明らかにするとともに、これらの指標を駆使して双極性障害の神経認知の解明を目指します。
本年度は以下の測定・解析を行いました。 1) 音圧減弱プレパルスのベースラインからの物理変化量(-5 dB~-70 dB)がプレパルス抑制に及ぼす影響を、脳磁図を用いて詳細に検討しました。-5 dBのプレパルスでは-10 dB以上のプレパルスに比べて有意に抑制率は低かったが、-10 dB以上のプレパルスの間には抑制率に差はみられなかった。プレパルス強度において、急峻にプラトーに達する抑制挙動は、溢れる情報の入力制御のメカニズムとしては理にかなったものである。この研究成果を2021年日本臨床神経生理学会学術大会および論文にて発表(Kawano et al., 2021)しました。 2) 健常者を対象とし、純音連結音の途中で周波数を両耳、左右の片耳で変化させ、変化関連脳活動とASSRを脳磁図で測定した。 3) 健常者を対象とし、変化応答とそのPPIに加え、感覚記憶を一つの実験系で評価するテストバッテリーの開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍にあったが、健常者を対象とした基礎的研究を中心に進め、成果を挙げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、健常者を対象として基礎的研究を進めるとともに、ひとつの実験系は刺激パラダイムを確立できており、本実験である患者群での誘発電位測定を開始する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にあって、学会に関する支出が当初の見込みより少なかった。繰り越した研究費は本実験の実験環境整備と、順調に進めることができた基礎的研究の成果発表費(国際誌への投稿)にあてる。
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