2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Biomarkers Focusing on Phospholipids as Related to Adverse Childhood Experiences and Onsets of Depressive Symptoms
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21K07492
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
小川 眞太朗 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 行動医学研究部, 室長 (00756984)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 小児期逆境体験 / 逆境的小児期体験 / 幼少期トラウマ / 幼少期マルトリートメント / 精神疾患 / リン脂質 / バイオマーカー / トランスレーショナル研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
「逆境的小児期体験」は、うつ病を初め多くの精神疾患の発症リスクを上昇させ、難治性うつ病との関連も示唆されている。逆境的小児期体験が合併する患者群は、うつ病患者の中でも特異な生物的背景を持つ類型を形成している可能性があり、もしも類型特異的なバイオマーカーが樹立できれば、治療法や病態機序の研究上きわめて有用である。本課題では、これまでの先行研究で幼少期ストレスが影響することが報告されている、脳白質のミエリンにおいての主成分である「リン脂質」の血中での動態と、逆境的小児期体験が伴う精神疾患の病態機序との関連に着目し、当 国立精神・神経医療研究センターの気分障害センター外来に受診した患者およびボランティアで参加した健常者を対象としての検討を行なうものである。 本課題での症例数の設定について、当初計画では気分障害センターの患者数は130名であったが、160名へと変更したほか、健常対照者数については当初は100名の設定であったが、80名を対象とすることに症例数を変更した(トータル対象者数 230名 ⇒ 240名)。 2022年度までの状況としては、気分障害センターに登録された方々の検体について、バイオバンクより払出しをいただいたほか、小児期逆境体験の指標である幼少期トラウマ質問票 (Childhood Trauma Questionnaire, CTQ) のスコアについて、その時点ごとの抑うつ気分の変化による思い出し(リコール)バイアスがあるか否かの解析を行なった。さらに、CTQのスコアと各種臨床情報、背景変数との関連についての予備的検討を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
健常対象者群の検体選定および準備のための作業が当初予定よりも遅れている。また、外注での解析やラボ内での解析作業のための準備は進めているものの、血漿検体の分注作業なども含めて全体の作業を早期に進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度においては、健常対象者群の血漿検体を選定し分注作業を行なう。外注による検体解析や、ELISAや液体クロマトグラフィーなどによるラボ内での解析作業も進めていく。得られたデータは、構造方程式モデリングによる因果推論解析のために用いる。
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Causes of Carryover |
研究遂行の遅れにより測定の外部委託の実施が2023年度以降となったことにより、2022年度においては物品費の支出が抑制されたほか、「その他」品目に分類される支出が限定的となったため。2023年度計画においては、「物品」費を実験に用いるための用品・試薬類を購入に当てるほか、「旅費」により学会への参加も行なう。また、「その他」品目については解析の委託による外注に支出する。
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