2021 Fiscal Year Research-status Report
うつ病の海馬テロメア長短縮に対するmiRNA制御機構の解明
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21K07506
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
鹿内 浩樹 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (00632556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 剛 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60312360)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | うつ病 / テロメラーゼ / 海馬 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
テロメア長は、テロメア伸長酵素テロメラーゼによって維持されている。しかし心理的ストレスによりうつ病が発症すると、テロメア長は異常に短縮することが報告されている。本研究は、うつ病動物モデルに見られるテロメア伸長酵素テロメラーゼの活性サブユニットTERTの発現量低下メカニズムや、セロトニン再取り込み阻害薬エスシタロプラムによるTERT発現量の回復機序を追究するために、うつ病モデル動物の海馬脳サンプルのマイクロアレイ解析から出発し、マイクロRNAによるテロメアーゼ発現の制御機構解明を行い、既存の仮説に捉われない新しいうつ病研究を展開するものである。 生後3週齢時のラットにストレスを負荷することで作製されるうつ病動物モデル(3wFS)を研究する過程で、海馬におけるテロメア長の短縮およびテロメア伸長酵素テロメラーゼの活性サブユニットTERTの減少を見出した。さらに抗うつ薬エスシタロプラム(ESC)の反復投与は、3wFSのうつ様行動を減少させるとともに、テロメア長の異常短縮およびTERT発現低下を改善させた。また、ESCによるTERT発現量回復は培養細胞でも認 められたことから、ESCの抗うつ作用にはセロトニン再取り込み阻害以外の未知の機序があることが示唆される。 本研究は、既存のうつ病仮説に捉われない新しいうつ病研究の展開を大目的とし、3wFSにおけるTERT発現量低下のメカニズムやESCによるTERT回復の機序を解明するため、海馬脳サンプル中のmiRNAの網羅的解析から出発し、miRNAによるTERT制御の分子機構解明を行う。 2021年度は「うつ病モデル動物の海馬におけるmiRNA異常の検出」については、実験動物の作製および海馬組織からのmiRNAの抽出を終え、miRNAのマイクロアレイ解析を行うことが出来た。その結果6種類のmiRNAの発現量低下を見出すことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2021年度に実施予定であった「うつ病モデル動物の海馬におけるmiRNA異常の検出」については、実験動物の作製および海馬組織からのmiRNAの抽出を終え、miRNAのマイクロアレイ解析を行うことが出来た。その結果、次年度以降ターゲットとすべきmiRNAを選定することが出来たため、2022年度の研究費を前倒しして次の実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、当該miRNAのマイクロRNAアゴニスト・アンタゴニスト(agomir/antagomir)を海馬に局所注入し、うつ様行動に変化が見られるか行動薬理学的に検討するとともに、TERT発現量やテロメア長の測定を行うことで、「うつ病とテロメア」の関係に迫りたい。
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Causes of Carryover |
2021年度に実験予定であった「うつ病モデル動物の海馬におけるmiRNA異常の検出」をスムーズに行うことが出来たため、次年度に行う予定であった実験の基礎検討を始めるべく、前倒し請求をした。現在も実験継続中であり、2022年度の予算と合わせて適正に実施する。
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