2022 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症罹患者におけるフレイルの実態と発症要因に関する研究
Project/Area Number |
21K07507
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
藤平 明広 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80592633)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古郡 規雄 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20333734)
下田 和孝 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30196555)
菅原 典夫 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80431435)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | フレイル / 低体重 / メタボリック症候群 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の統合失調症罹患者は、海外の同疾患罹患者に比べて低体重の割合が高く、フレイル発症のリスクが極めて高いことが推測されている。さらに、これまでフレイルについて統合失調症罹患者特有のリスク因子を検討したものは全く存在しない。しかし、若年期には糖脂質代謝異常の罹患率が高い一方で、加齢した際には低体重の有症割合が高い特徴を有する統合失調症患者において、特有のリスクが存在する可能性が指摘されている。本研究では、若年期からの糖脂質代謝異常により生じる終末糖化産物などの生物学的要因に着目し、統合失調症罹患者特有のフレイル発症メカニズムを明らかにすることを目的としている。初年度は、倫理委員会における研究計画の審査完了と、フレイル評価を行うに際しての歩行速度測定方法の標準化および Advanced glycation end products ( 終末糖化産物: AGEs )と体格指標との関連性を明らかにすることを到達目標とした。
当初案に沿った研究計画について、施設内倫理委員会における審査を受けた。その過程で、当初案からの若干の修正を生じたものの、基本的な研究疑問については変更なく承認された。その後、同意取得時点で 50 歳以上の統合失調症 ( DSM-5 または ICD-10 の基準による ) の罹患者をこれまでに 119 名、リクルートした。その上で、フレイル評価を行うに際しての歩行速度測定方法の標準化を行い、測定開始時のタイミングや測定終了時点の定義について施行を繰り返した上で、最終的なプロトコールを決定した。また、AGEs と体格指標との関連性についても測定を実施し、信頼性を検討するための基礎的データの集積を現在も継続している。
現時点において定量的に統計学的検討を行う段階ではないが、一定の症例を得ており、次年度以降も研究体制の強化を図りつつ、目標症例数を達成するべく研究を進行させる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度において、研究対象者のリクルートが大きく進行し、開始時の横断的評価についてのデータが集積している。そのため、概ね当初の進捗目標を達しているものと考える。ただ、今後も研究協力施設における感染症の状況など、不測の事態が生じる可能性はあり、研究体制の強化を含めて検討を行いたい。
現時点においては学会発表や論文のカタチで成果を公表していないものの、一定の症例数に達してから統計解析を行う計画であるため、計画の進捗に大きな問題はなく、概ね順調に進展しているものと自己評価している。今後も症例数の集積に努め、次年度以降の研究成果公表を期すことにしたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
ここまでのところ、対象者のリクルート活動や、研究協力施設の確保といった点からみて、概ね順調に進展しているものと自己評価している。しかし、研究協力施設において、過去に感染症蔓延のために実施計画を延期したこともあり、今後も不測の事態を生じる可能性は十分にある。そのため、協力施設を増やすなどの研究体制拡充を図りたい。そのため、診療連携の機会などを活かし、研究計画の紹介と協力依頼を積極的に進める予定である。
|
Causes of Carryover |
おおよそ当初計画に基づいて研究を遂行したが、実際の必要物品購入等に際して、予想していなかった端数を生じたため、次年度の使用額が発生した。これらは、次年度において当初計画にある測定を実施するために使用する予定である。
|