2022 Fiscal Year Research-status Report
A study regarding the way and effects of collaboration between medical practitioners and lawyers in hospitalization for assessment of the Medical Treatment and Supervision Act
Project/Area Number |
21K07516
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
椎名 明大 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 特任教授 (70436434)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 医療観察法 / 鑑定入院 / 付添人 / 人権擁護 / エキスパートコンセンサス / 司法精神医学 / 司法精神医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、医療観察法鑑定入院対象者に対する付添人弁護士が医療連携活動において果たすべき役割を明らかにすることを目的に行われた。2021年度の予備的検討に続き、2022年度においては、付添人業務の経験がある弁護士を複数名選出し、研究遂行にかかるエキスパートパネルを結成することを目的とした。 「弁護士情報提供サービスひまわりサーチ」において取扱業務として「心神喪失者等付添」を登録している全国の弁護士を対象とした。ただし東京都は出身都道府県を登録してある者のみに限定した。選定基準に合致する研究対象者数1116人の全例を対象とした。紙媒体の調査票を全国の弁護士事務所に郵送し、返送を求めた。 調査項目は、付添人経験の有無及び頻度、付添人活動において気づいたこと等である。 本研究は臨床研究法その他の関連法規の規制の範囲には含まれないが、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に則ってこれを行うものとする。本研究は当学の倫理審査委員会の承認を得たうえで実施された。 結果として143通の有効回答を得た。回答者半数弱が付添人業務の経験を有していた。経験回数の平均は3.2回であった。経験者の過半数が関係各所との連携に困難を感じた経験を有していた。その中でも対象者及びその家族との関係構築に困難を感じた回答者が多かった。4分の1の回答者が鑑定入院医療機関での医療ないし処遇に疑問を持った経験を有していた。疑問の内容としては、医療内容が適切でない、対象者が不満を持っている、必要な医療提供がなされていない、入院環境に問題がある、との回答が比較的多かった。医療ないし処遇の改善のため鑑定入院医療機関と連携したことのある回答者は4分の1に留まった。 2023年度はこれらの結果を踏まえてエキスパートパネルを結成し、付添人が鑑定入院医療機関との連携において果たすべき役割についてのコンセンサスを見出すことを目標とする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特になし
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度の調査で得られたデータを定性的に解析し、現時点で付添人活動を積極的に行っている弁護士によるコンセンサスについての素案を作成する。研究参加に同意した弁護士たちによるエキスパートパネルを結成し、上記コンセンサスの素案に対する評価を仰ぐ。そのうえで付添人による鑑定入院医療機関との連携に関する重要項目を抽出し、デルファイ法を用いて各項目の重み付けを行う。得られた結果をまとめ、付添人による鑑定入院医療機関との連携マニュアルとして発表し、関係各所からの批評を仰ぐ。研究成果は適宜国内及び国際学会において発表するとともに論文化を図る。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行状況に鑑みて出張を伴う学会発表や有識者との意見交換に躊躇したため、一部の研究計画を後ろ倒しした。 2023年度においては研究の途中経過や最終結果を積極的に国内外の学会で発表するとともに論文化を急ぐ。その際には出張旅費や英文構成費用、学術誌掲載費用等がかかるため、当初よりも使用すべき研究費の額が多くなることが予想される。
|