2023 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症死後脳淡蒼球におけるストレス応答分子に着目した多階層的研究
Project/Area Number |
21K07524
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日野 瑞城 東北大学, 災害科学国際研究所, 特任助教 (80396663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢部 博興 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60210316) [Withdrawn]
三浦 至 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30612709)
國井 泰人 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00511651)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 死後脳研究所 / 淡蒼球 / RNA-Seq / 治療抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の病態解明を目的とした最近の一連の画像研究は疾患群における淡蒼球の左側優位な体積増加を報告している。淡蒼球は頭部外傷や低酸素などの物理的ストレッサーに対して感受性が高いことから、統合失調症における淡蒼球体積増加は胎生期から発症に至るまでの脳の物理的・化学的・生物学的ストレッサー に対する応答の履歴を他の脳領域よりも鋭敏に反映していることを示す現象であるという仮説を立て検証をおこなっている。この考えに基づき、統合失調症患者 群と対照群の死後脳の淡蒼球を比較して遺伝子発現レベル、タンパク質発現レベル、代謝産物レベル、組織学レベルで主にストレス応答に関与する分子に着目して解析する。 令和5年度は前年度に引き続き行っている死後脳淡蒼球のRNA-seq解析についてマッピングが完了し、疾患間や淡蒼球の大きさ、左右差との間での mRNA発現量の比較解析をおこなっている。当初から着目しているストレス応答や炎症に関わるパスウェイに加えて、淡蒼球の左右で差がある発現変動遺伝子(DEG)のエンリッチメント解析において新規の興味深いパスウェイの関与を示す知見が得られた。このパスウェイは動物の初期発生において左右差の形成に重要であることが知られており、こちらについても解析を進める予定である。 研究成果の報告としては、令和5年度中に精神疾患の病因解明を目的とした研究で本研究課題と特に関連するものとして筆頭著者として1報の査読付き英語論文に受理・出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を繰り上げて統合失調症および健常コントロール群の淡蒼球のRNA-seq解析がマッピングを含めて完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
淡蒼球RNA-Seq解析結果について統合失調症群と健常コントロール間や淡蒼球の大きさとの間で発現量の比較解析を行う。また、サイトカイン類の変動についてタンパク質レベルで測定、比較解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定の計画よりも死後脳淡蒼球組織の入手および RNA精製が進捗し、本研究の中心である淡蒼球RNA-Seq データ解析を前倒して実施したが、そのため前倒し支払請求を行った。前倒し支払請求の単位が10万円単位であったため 14820円の次年度使用額が生じた。本研究の中心となるこの解析が終了したことで、2024年度以降は論文作成の段階となり、次年度使用額についてもその目的に使用する予定である。
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