2022 Fiscal Year Research-status Report
CGRP-Npas4経路を介したエピジェネティックな恐怖記憶制御機構の解明
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21K07532
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
橋川 成美 (芳原成美) 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (30511159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋川 直也 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (60434982)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 恐怖記憶 / CGRP / 鼻腔内投与 / Npas4 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度はCGRPを脳室内投与して、Npas4の増加が起こることが、恐怖記憶を忘れること、その調節機序にCGRPがリン酸化HDAC5の増加を引き起こし、ヒストンアセチル化を促進させ、Npas4の転写を活性化させ、Npas4の発現増加を行なっていることを明らかにし、報告した。 今回は、CGRPをマウスに鼻腔内投与し、同様の恐怖記憶の抑制効果が得られるかどうか検討した。 鼻腔内投与により、どのくらいのCGRPが中枢に移行するかをまず検証した結果、投与30分後の脳脊髄液で約2倍、海馬においてもおおよそ2倍程度のCGRP量をELISAにて確認することができた。また、鼻腔内投与により脳へ移行したCGRPが生理機能を果たしているかを確認するため、光嫌悪性試験を行った結果、CGRPを脳室内投与した時と同様に光嫌悪を示す行動がCGRP鼻腔内投与により顕著に観察することができた。 恐怖記憶に対する影響は、脳室内投与よりは効果は減弱するものの、恐怖を与えた直後にCGRPを鼻投与することで、恐怖記憶の抑制効果が見られた。また、脳室内投与と同様にリン酸かHDAC5が増加し、Npas4の転写を活性化させること、さらにそれはCGRP受容体拮抗薬であるBIBN4096の投与によりNpas4の増加が抑制されること、恐怖記憶の保持抑制効果がキャンセルされることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CGRP鼻腔内投与がどのくらい効果を示すのかわからなかったが、脳脊髄液、海馬において鼻腔内投与によるCGRPの発現量増加を捉えることができたため、脳に直接投与せずとも、鼻腔内投与により簡便にCGRPを脳に届けることができることが明らかとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
CGRP投与により、アセチル化の変化をクロマチン免疫沈降法により明らかにすることができたため、次はヒストンメチル化について検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナにより実験計画が大幅に遅れたため、予定よりも使用額が低くなってしまった。次年度は本計画の最終年度のため、予定しているヒストンメチル化について研究を行なっていく予定である。使用計画は主にマウス、抗体の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)