2023 Fiscal Year Annual Research Report
フェノムワイド関連解析及び日本人特異的変異による過眠症の分子基盤の解明
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21K07534
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
児玉 亨 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (20195746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 卓 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 副参事研究員 (20512263)
嶋多 美穂子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, ゲノム医科学プロジェクト 上級研究員 (50792727)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 睡眠 / 変異 / オレキシン / ゲノム解析 / 特発性過眠症 |
Outline of Annual Research Achievements |
東北メディカルメガバンク機構(TOMMO)より分譲された遺伝子型情報と睡眠表現型情報の解析、及び中枢性過眠症の解析を実施することで、日中の眠気に関与する遺伝的要因の同定を目指した。まずTOMMOのSNPアレイより得られた遺伝子型情報(対象症例数:14,348例)を用いた解析により、オレキシン2受容体遺伝子上の頻度の低い変異(rs188018846、マイナーアリル頻度0.35%)が、一般集団における日中の眠気と有意に関連することを見出した(P = 8.4E-05)。また特発性過眠症患者群においてrs188018846の変異アリルの頻度が高い傾向が観察された(P = 0.09、オッズ比2.07)。 特発性過眠症のゲノム解析を実施し、特発性過眠症の関連変異としてオレキシン前駆体遺伝子のクリベージサイトに位置するアミノ酸置換を伴う変異(p.Lys68Arg)を同定した。患者群ではオレキシン前駆体遺伝子の本変異のマイナーアリル頻度は1.67%で、健常者群での本変異のマイナーアリル頻度は0.32%であり、オッズ比5.36、P値2.7E-08と有意な関連を示した。この変異の機能的な影響を検討するため、変異体と野生型のオレキシン前駆体ペプチドを用いて、切断酵素のPC1/3及びPC2による切断活性を評価し、変異体はほとんど切断されないことを確認した。切断されなかったペプチドは、薬理学的活性が低いこともin vitroレベルで確かめた。 さらに特発性過眠症患者121例及び健常者1,791例のSNPアレイより得られたゲノムワイドな遺伝子型情報、及びPGSカタログより入手したUKバイオバンクの睡眠表現型情報のベースデータを用いて、ポリジェニックリスクスコア(PRS)解析を実施した。その結果、特発性過眠症の患者を、極端な夜型PRSや居眠りPRSが高い群に層別化することに成功した。
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Research Products
(6 results)