2021 Fiscal Year Research-status Report
大学生の末梢血テロメア長を用いた若年自殺リスクマーカーの確立
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21K07545
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
毛利 健太朗 神戸大学, 保健管理センター, 助教 (00642125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 泰司 神戸大学, 保健管理センター, 教授 (00324921)
高橋 健太郎 神戸大学, 保健管理センター, 助教 (30379367)
大塚 郁夫 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40722880)
足立 祥 神戸大学, 保健管理センター, 助教 (30827001)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自殺 / テロメア長 / 大学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年者の高い自殺率に大学生世代の自殺問題が占める割合は非常に大きく、支援体制の充実や自殺予防教育の徹底といった対策がとられているものの、大学生の自殺率は大きく改善していない。むしろ、コロナ禍において若者の自殺は増加に転じている。そのような中、申請者らは世界最大規模の自殺者血液試料を有する強みを生かし、「日本人若年自殺者において末梢血テロメア長が顕著に短縮している」現象を見出した。 申請者は毎年約4000人の大学生に対し自殺リスクのスクリーニングを行う立場であり、自殺ハイリスク学生の末梢血テロメア長を継時的に測定 し、自殺念慮・自殺企図の有無や心理学的検査などの推移との関連や、対照となる健康な学生のテロメア長との比較を行うことで、非侵襲的かつ簡便に採取・定量できる末梢血テロメア長が、若年者の自殺リスクの生物学的指標として有用かどうかを検討していく。自殺の早期発見・予防には、バイオマーカーの確立と生物学的病態機序の解明が不可欠である。特に若年者の高い自殺率に大学生世代の自殺問題が占める割合は非常に大きい。我々は世界最大規模の自殺者血液試料を有する強みを生かして「日本人若年自殺者において末梢血テロメア長が顕著に短縮している」ことを見出した。本研究において自殺ハイリスク学生の末梢血テロメア長を測定し、自殺念慮・抑うつ・ストレス反応の評価スコアの推移や自殺企図の有無との関連、同年代の健康な学生のテロメア長を対照とした比較解析を行うことで、末梢血テロメア長が自殺リスクのバイオマーカーとして有用かどうかを検討し、最終的にはそのデータを元に、若年者の自殺予防に有用な世界初のバイオマーカーを簡便かつ非侵襲的に採取可能な末梢血サンプルでの測定というパッケージにて確立することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で対面での面談が難しく、研究の進めにくい状況にあった。その中で臨床検体での末梢血テロメア長の測定、自殺企図の有無の確認、HAMD17(抑うつ)・SRS18(ストレス反応)・コロンビア自殺スケール(C-SSRS)といった心理学的検査の施行、生活歴(喫煙・飲酒・睡眠時間など)の聴取を行い、プロトコールの確立を達成できた。次年度も同様のプロトコールを適用しながらサンプル数を増やす予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度も引き続き新入生健康診断時に行うUniversity Personality Inventory(UPI)という自己記入式の健康調査票で抽出した自殺ハイリスク学生の中で本人の研究同意が得られた学生に対し、末梢血テロメア長測定及び自殺企図の有無の確認、HAMD17(抑うつ)・SRS18(ストレス反応) ・コロンビア自殺スケール(C-SSRS)といった心理学的検査の施行を行う。そして蓄積された各学生の末梢血テロメア長・心理学的検査のデータを用いて、自殺念慮・抑うつ・ストレス反応のスコアと末梢血テロメア長に相関があるか、フォロー開始時の末梢血テロメア長がその後の自殺企図の有無を予測できるかについて、統計学的解析を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定人数の学生検体が集まらなかったため、物品費等で予定の予算に達しなかった。このため次年度の予定人数を増やし次年度使用額として計上した。
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