2022 Fiscal Year Research-status Report
The role of WFS1 for action mechanism of mood stabilizers
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21K07552
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
垣内 千尋 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90342766)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | WFS1 / リチウム / 気分安定薬 / 双極性障害 / WFS1 neuron |
Outline of Annual Research Achievements |
双極性障害の治療においては、リチウム、バルプロ酸などのいわゆる“気分安定薬”が用いられている。これらには多様な薬理作用が報告されているが、双極性障害における作用機序は未だ明らかではない。双極性障害の病態には、細胞内カルシウム制御障害が関与することがゲノム研究により明らかとなりつつあり、調節に関わる細胞内小器官である小胞体とミトコンドリアの役割が示唆されている。気分障害を伴う遺伝病であるWolfram病の原因遺伝子WFS1は、細胞内カルシウム制御及び小胞体とミトコンドリアのクロストークに関与することが近年示された。研究代表者はこれまでに、WFS1が小胞体ストレス応答関連遺伝子であること、バルプロ酸がWFS1の発現を増加させることを報告すると共に、リチウムがWFS1の立体構造に影響する可能性を示唆する知見を得ていたが、最近、双極性障害及びリチウム長期服用による側坐核形態変化、また、側坐核における“WFS1 neuron”の存在が報告された。これらの背景から、本研究は、気分安定薬の作用におけるWFS1の役割を明らかにしようとするものであり、まずは、気分安定薬下の培養細胞におけるWFS1の発現及び抗WFS1抗体により免疫沈降されるWFS1の量に変化がみられるか、についての検討を計画した。令和4年度は令和3年度に引き続き、細胞培養、タンパク解析の実験系の確立を行い、Neuro2a細胞の培養、抗WFS1抗体による免疫沈降、及びウエスタンブロッティングによる検出の系を確立し、気分安定薬下でのWFS1抗体への反応性についての実験に着手した。今後は引き続き気分安定薬下でのWFS1抗体への反応性についての実験を進めるとともに、抗体認識部位による反応性の違いも考えられたことから、別の抗WFS1抗体に対する反応性の検討も行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験条件の確立が終了し、気分安定薬下での実験を開始できているとともに新たに示唆されることが得られており順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き気分安定薬下でのWFS1の抗WFS1抗体への反応性についての検討を、認識部位も変えて行い、その後の機能解析の基礎とする。
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Causes of Carryover |
実験の過程で新たな知見が得られ、そちらについての確認を行う必要が生じたことから、機能解析にまでは至らず、次年度使用額が生じた。次年度はその確認実験の継続とともに機能解析を計画しており、研究費を使用する。
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