2021 Fiscal Year Research-status Report
Event-mixing を用いた放射線治療線量分布予測の不変的評価法の開発
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21K07565
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
齋藤 明登 広島大学, 病院(医), 助教 (20528062)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 線量分布 / ガンマパス率 / event-mixing |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では放射線治療の線量分布の治療計画(線量分布シミュレーション)で計算した線量分布と実際に測定した線量分布の一致度(ガンマパス率)の絶対評価の開発を目的としている。素粒子原子核実験で因果関係のない物理量のペアの生成に用いられるevent-mixingの考え方をガンマパス率に当てはめることにより、ガンマパス率予測の下限値と上限値を見積もり、その範囲内でガンマパス率予測精度の評価を行う。 今年度はガンマパス率のデータ収集とevent-mixingのソフトウェアの作成を行った。データ収集では、特徴の異なる二種類の測定装置(ArcCHECKとDelta4)のガンマパス率データを収集し、それぞれ100症例程度のデータ(ガンマパス率の実測値と予測値のペア、tolerance=3%/3mm、3%/2mm、2%/2mm)を収集した。ソフトウェアの作成では、ガンマパス率の実測値と予測値を無作為にペアを組ませるevent-mixingを行い、event-mixing有りと無しのそれぞれの場合について、ガンマパス率の実測値と予測値のペアの相関係数を計算した。また、各測定装置のガンマパス率測定精度を見積もるために、各症例に対して10通りの幾何学的条件で測定し、標準偏差を求めた。これらのデータにより、ガンマパス率の実測値と予測値のペアの相関係数の上限値と下限値を与える。これらのデータを用いて作成する予測精度の評価スコアの理論的枠組を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究計画では、1年目にデータ収集・ソフトウェア作成、2年目に予測手法の確立と統計的評価、3年目に複数の予測手法を用いた単一のデータの評価を行う予定となっている。1年目である今年度はデータ収集を完了し、ソフトウェア作成ではevent-mixingと相関係数の上限値と下限値を与える部分の作成を完了した。現在までの進捗状況としては、おおむね研究計画の通りに進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は2年目と3年目の開発を研究計画の通りに推進する予定である。2年目は、複数データを用いた単一予測手法の評価を行い、同じ評価スコアになることを確認する。また、学習データの数と絶対評価精度の関係について統計的な解析を行う。3年目は、複数の予測手法を用いて単一データを評価し、3年分の成果を纏めて論文発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルス蔓延防止の影響により各種学会がオンライン開催となった影響により、次年度使用額が生じた。次年度は各種学会の開催方式を注視しながら本研究のこれまでの進捗について発表を検討する。
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