2021 Fiscal Year Research-status Report
A new approach to the prevention of radiation-related caries
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21K07596
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松崎 秀信 岡山大学, 大学病院, 助教 (70325124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉尾 浩太郎 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (70623297)
松崎 久美子 (田中久美子) 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (50550802)
青山 英樹 岡山大学, 大学病院, 主任診療放射線技師 (60769264)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射線性う蝕 / 放射線防護剤 / ラジカル / 予防 / 歯面塗布 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線性う蝕の予防に関する研究である。放射線性う蝕の発生誘因の一つに、放射線照射による歯の硬組織の損傷がある。これは唾液や歯に接する軟組織に含まれる水分、歯の硬組織中に含まれる有機質や水分との相互作用によって発生するラジカルによって生じると考えられている。 そのため本研究では、放射線の照射によって発生するラジカルを抑制する物質である放射線防護物質を照射系に添加することによりラジカルを抑制することで歯の硬組織損傷を軽減させることを目的とした。 抜去歯を用いた試料体への照射実験に先立ち、過去に放射線照射による歯の硬組織の損傷に関する報告に関して再度渉猟し、実験に適切な照射スケジュールについて、放射線腫瘍医、放射線物理士と共に検討を行い、10Gy×7回(7日間)のスケジュールで照射実験を行うこととした。 う蝕のないヒト抜去歯に対して0~70Gyの段階的照射後、脱灰処理を行うことで人工う蝕を作製し、物性評価および脱灰程度の観察を行う予定である。検証には、色素浸透試験や軟エックス線、走査電子顕微鏡、偏光顕微鏡による観察を行う。現在までに、非照射群に関して、エナメル象牙境とセメント象牙境の検証を行った。また、放射線防護物質のひとつとして、亜鉛含有ガラス塗布材を人工う蝕予防材として応用した。その結果、色素浸透試験において、人工う蝕ではセメントエナメル境で色素浸透が確認された一方で、亜鉛含有ガラス塗布材では色素浸透を認めなかった。また、走査電子顕微鏡では人工う蝕群でエナメル象牙境にクラックが生じていた一方で、亜鉛含有ガラス塗布材ではエナメル象牙境の結合破壊を認めなかった。 放射線防護物質は、アスコルビン酸、システアミン、アミフォスチン、オルトバナジン酸ナトリウムを候補として考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
放射線照射によって歯に生じる損傷は、歯の表層にあるエナメル象牙境でのエナメル質の剥離やハイドロキシアパタイトの結晶性の低下など、損傷は微細なものである。非照射群、照射群のエナメル象牙境とセメント象牙境を詳細に検証する必要があるため、非照射群での色素浸透試験や軟エックス線、走査電子顕微鏡、偏光顕微鏡による観察を、試料体の厚みなどを変えて繰り返し行っており、最適な観察条件の検討に時間を要したため進行はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
非照射群に関して、エナメル象牙境とセメント象牙境の検証はほぼ終了しており、本年度は照射実験を行う予定である。また、放射線防護物質の候補としてはアスコルビン酸、システアミン、アミフォスチン、オルトバナジン酸ナトリウムをリストアップしており、歯の硬組織に影響を及ぼす照射線量の特定し次第、照射系に放射線防護物質を添加した実験を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究スケジュールに遅れが生じ、購入予定であった資材・薬剤を購入しなかったため。 また、COVID-19の流行により予定していた学会参加旅費が発生しなかったため。 使用計画については、次年度試料体への照射実験に必要な費用等に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)