2021 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺内用療法患者から排出される放射性ヨウ素の高効率除去に関する研究
Project/Area Number |
21K07598
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊藤 茂樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (80402395)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桧垣 正吾 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (50444097)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 放射性ヨウ素 / シクロデキストリン / 吸着 / 保持効果 / 人工尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,東京大学アイソトープ総合センターにおいて基礎実験を行った。新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大を受け,輸入に依存する研究用ヨウ素-131の価格が以前の5倍以上に高騰したため、代替としてヨウ素-125を用いた. カートリッジのフィルターや外装部分あるいは患者が着用する衣類の素材候補であるシクロデキストリンを添着した綿生地を用いて,ヨウ素の保持能力の経時変化を確認した. 内容量100mLのプラスチック製U8容器の底に生地を敷き,放射性ヨウ素を含む水溶液を10mL滴下し,ドラフト中で蓋を開けた状態で自然乾燥させた.対照群として,未加工の生地,および生地を敷かないものと比較した。その後,4日,8日,10日,28日経過後に,低エネルギーγ線測定が可能なゲルマニウム半導体検出器で定量測定を行った.その結果,未加工の生地からは10%程度の放射性ヨウ素が飛散したのに対して,加工した生地では殆どが飛散せず生地に保持されていた.さらに,28日間経過してもそのままの状態で保持されていた.なお,単なる水溶液試料を静置したものからは28日間で83%のヨウ素-125が飛散した。. これらのことから,シクロデキストリンを添着した綿生地をフィルターや外装部分に用いることにより,廃棄待ち保管中の飛散が防止され,医療従事者への内部被ばくが低減されることが示唆された.しかしながら,水溶液の代わりに人工尿を用いた実験では,人工尿そのものに放射性ヨウ素の保持効果があるようにも見える結果が得られたため、引き続き検討を行う.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎実験により,シクロデキストリンによる人工尿内の放射性ヨウ素の保持効果が確認できた.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の基礎実験結果を踏まえて,放射線治療患者からの尿および呼気を吸着試験を開始する.
|
Causes of Carryover |
基礎実験では,実験用測定付属器材および放射性同位元素の購入および研究打ち合わせ旅費に充当予定である.臨床試験では,データ解析用装置(PC)一式の購入および,臨床試験での患者毎の測定付属品および消耗品等の物品費の購入に充当する.
|