2023 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺内用療法患者から排出される放射性ヨウ素の高効率除去に関する研究
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21K07598
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊藤 茂樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (80402395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桧垣 正吾 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (50444097)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射性ヨウ素 / 廃液 / シクロデキストリン / 高分子ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに,甲状腺内用療法患者から排出される尿中の131I化合物をα-シクロデキストリン(α-CD)を用いて選択的に吸着させる方法の開発のため,人工尿を用いて実験室系での吸着実験を行ってきた.昨年度,高分子ポリマーによる尿の固形化とα-CDを組み合わせることで,高効率の放射性ヨウ素吸着および固形化が可能となることが判明した.実験結果として,α-CD及び高分子ポリマーを用いることによって,放射性ヨウ素を含んだ模擬廃液からヨウ素を残留させつつ水分を分離することが可能であった.廃液(W)の含水量は15日後までに低下し,以降一定になった.すなわち,廃液(W)を注入してから15日後までに水分が蒸発し,含水量が最小になった.廃液(W)におけるヨウ素残存率は含水量が低下する15日後までに0.1に減少した.一方,密閉容器内の模擬廃液(W)は含水量が減少することもなく,ヨウ素の残存率も低下しなかった.これらの実験値の検証およびデータの整合性について確認し,その成果の公表に向けて活動した.この成果は,信州大学 廣田らと共同で実施している研究成果の一部として,2024年1月に論文としてHealth physicsに採択され,現在,in pressの段階である. 甲状腺内用療法患者から排出される呼気(気体状に含まれる131I化合物)に関する実験については,尿の固形化の成果の公表が完了した後に対応する予定であったが,残された期間内で完了することはできなかった.しかしながら呼気についてはα-CDに吸着させた放射性ヨウ素を水を含んだ当該ポリマーで固形化することで対応できることが,実験的に明らかにした.
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