2022 Fiscal Year Research-status Report
高精度線量分布計測のための電子密度連続可変ファントムの開発
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21K07599
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
藤崎 達也 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (00285058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 慎司 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (00274978)
布施 拓 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 講師 (10712648)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 肺ファントム / 肺胞 / マイクロスフェア |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリマーゲルは元素組成や電子密度が筋肉や水とほぼ一致するため、軟部組織の3次元線量計測に使用できるが、肺組織は含気による密度低下と呼吸による密度変化があるため従来は作製できなかった。我々は肺胞とほぼ等価なマイクロスフェアをポリマーゲルに分散・固形化することで、水との電子密度比が0.2-1.0になるような調整して、呼吸する肺組織の元素組成や電子密度にほぼ一致する電子密度連続可変ファントムを開発する。 令和4年度は、ウレタンとマイクロスフェアを混合した電子密度連続可変ファントムを作製し、電子密度が可変できるかを確認した。併せて、ポリマーゲルとアガロースにより人体形状を模したファントムを作製し、3次元線量計測分布の取得が可能か検討した。 電子密度連続可変ファントムはウレタンとマイクロスフェアの重量から混合則によって計算して作製することで、±0.02 g/cm3程度までのばらつきで作製できた。これは市販の肺ファントムと同程度であり、肺形状への応用が期待できる結果となった。また、人体形状を模したファントムとしてマウスピース型のファントムを作製した。アガロースはPAGAT線量計に使用されているゼラチンよりも温度依存性が低く、アガロースによるポリマーゲル線量計は容器により人体形状を模擬する必要がなく体内にも挿入可能である。頭頸部領域の放射線治療では歯科用合金による口腔粘膜炎が報告されていることから、in vivoで3次元線量計測できるマウスピース型ゲル線量計を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
市販の肺ファントムと同等レベルの密度ばらつきで電子密度可変の肺ファントムを作製できることを示すとともに、人体形状を模して三次元線量分布を取得可能なポリマーゲル線量計を作製できた。引き続き放射線治療時の肺の状態(電子密度)を再現した高精度な三次元線量計測を検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アガロース型のポリマーゲルによる電子密度連続可変ファントムをベースとして、肺の形状を模したファントムを作製する。リニアックを用いて事前に計画された肺定位放射線治療の照射に対して三次元線量計測を行うとともに、数学的ファントムを用いてモンテカルロシミュレーションシステムでの線量評価との比較する予定である。また、電子密度連続可変ファントムに関する成果は、引き続き国内外の関連学会へ公表する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 物品費については、2方向からのファントム作製方法で試作しており、当初想定していた装置の購入には至っていない。旅費・人件費等については、コロナ禍による影響が主である。 (使用計画) 物品費については、最適な作製方法やデータ解析に対応した装置を購入する予定である。旅費・人件費等については、感染防止対策を行い、移動や実験のマシンタイムを取得して実験を進める。
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