2023 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素中性子捕捉療法の治療効果とホウ素薬剤の腫瘍内滞留性との関連性の検討
Project/Area Number |
21K07602
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
和田 悠佑 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 特任講師 (10866172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 実 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (00319724)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)は、がん治療の一種であり、18F-BPA(ホウ素フェニルアラニン)-PET検査における腫瘍の18FBPA取り込みと正常組織の取り込みの比(T/N比)に依存して治療を実施するかどうかが決定される。しかし、近年、BPAの腫瘍内滞留時間の延長がBNCTの治療効果向上に寄与することが報告されている。したがって、BPAの取り込みのみでは治療効果を予測するのに十分でない可能性がある。一旦細胞内に取り込まれたBPAの細胞外への流出は、間質のBPA濃度に依存すると予想される。本研究では、腫瘍組織の多様性(間質容積および血流分布)がBPAの滞留およびBNCTに対する反応性に及ぼす影響について検討した。膵臓癌の細胞株の中でも、間質の多いCapan-1細胞および間質の少ないPSN1細胞を用いて担癌モデルマウスを作成し、BNCTの腫瘍縮小効果を調べた。さらに、CR39を用いたオートラジオグラフィで腫瘍組織におけるホウ素の分布を調べた。結果として、間質の多寡に関わらず、BPA投与+中性子照射群で腫瘍縮小効果が認められた。また、ホウ素の分布は、間質と比較して腫瘍細胞に多く分布している傾向が確認できた。これらの結果より、BNCTの効果の予測にマクロなBPAの取り込み量の確認だけでは十分ではない可能性があると考えられる。 今後、BNCTの効果を正確に予測するための新たな評価法について探索する必要があると考えられる。
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