2021 Fiscal Year Research-status Report
A new myelin mapping by quantitative metabolic MR imaging
Project/Area Number |
21K07607
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高橋 昌哉 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (80898982)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CEST / Ultra-short TE / Myelin Mapping / Metabolic imaging |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、短いT2,T2*を持つH1を検出可能なMRI法(Ultra-short TE: UTE)と組織の特定代謝物情報を検出可能な新規MR分子イメージング法である化学交換飽和移動 (chemical exchange saturation transfer: CEST)を組み合わせ、より髄鞘の状態に選択的で鋭敏な新たな定量マルチパラメトリックMRI法を開発することである。 当該年度は当初計画したように、2つの方法を組み合わせる前に、当施設で行える両手法の正確性の確認と後者の信号強度に影響を与える要因と信号の確認の一部を行った。CEST信号は、撮像条件、特にpreparation pulseにより影響しその程度は各代謝物により異なり、さらに同じ条件下でのCEST信号の量は、各代謝物の組織内濃度のみならず組織のT1値、化学交換速度に影響をおよぼす組織pHや温度などの影響を受けるためグルタメート、クレアチン、グルコースのCEST信号に与える要因を各々3.5 ppm, 3 ppm, 2 ppmおよび1.2 ppmのchemical shiftを示す分子内の1Hを持つ物質のT1, pHを調製した水溶液ファントムで検証した。 その結果、同一撮像条件での各物質のCEST信号は、各物質の濃度は一定にもかかわらず、温度、pHの変化により大きな変化を示した。さらにCEST信号はpreparation pulseの印加時間が長く、強度が高いほど増強したが、その増強の程度は物質により異なっていることを明らかにし、物質の濃度の変化と温度やpHなどの周囲環境からくる信号強度の変化を分離する重要性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CEST法で観察できる内因性の代謝物は、分子量の比較的小さな可動性分子のうち-CONH, -NH2, -OHなどの側鎖をもつ代謝物であり、組織内のタンパク質・ペプチド、神経伝達物質のグルタメート、クレアチンやグルコースなどの定量が報告されている。代謝物上のプロトン(1H)はMRI信号として通常観察できないが、観察可能な自由水の1Hとの間で化学交換 (置き換え)を生じるためCEST法では間接的に観察される。CEST信号は、撮像条件のみならず現在言われているようなCEST信号が代謝物濃度を鋭敏に反映するわけではなく、周囲環境の違いにより変化することが新しく明確に示された。今回の結果は、当初の予定に比べ手法開発の難しさを伴うが、生体環境を測定するポテンシャルが明確に示されたことにもなり、今後の研究でよりCEST法の活用法を探究する案が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
CEST信号のpreparation pulseの印加時間・強度による変化の割合は物質の特性、とくに化学交換時間の速度の計測の重要性と、それらの結果を基に、脳内CEST信号の条件による変化を解析し結果の解釈、補正についてさらに研究を進める。 また、UTEにおいては当該施設で可能な方法は定量性が低いことが検証の結果分かったことから、装置メーカーとの改善案を議論しており、改善を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
物品費に関しては、データ解析用のwork station (WS)の購入を計画していたが、現在予定通り取得した基礎的データのデータ量では解析用に購入したPCで解析できたことから初年度の購入を行わなかった。また、旅費については新型コロナの影響が残っており国際学会・一部の国内学会がWeb開催となり使用することが少なかった。これらにより未使用金額が発生した。今年度の画像データの継続した取得計画を踏まえ、WSの今年度中の購入を計画している。また学会への参加計画もあり、備品や旅費の費用使用も計画されている。
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