Outline of Annual Research Achievements |
大規模地域住民コホートを用い,各年代の血管走行・壁ストレス標準モデルを作成することが本研究の目的である。血管走行はvariationが多く,‘標準化が困難=重ね合わせが困難’であった.本研究では各断面で血管の中心点を抽出し,中心点を結ぶことにより中心線を求める.さらに中心線を平均化して標準血管走行を構築した.我々はすでに,高血圧患者40例と正常例40例において,標準血管を作成し脳底動脈を抽出して座標比較をした.脳底動脈起始点(bottom)は,高血圧患者で正常例に比べ有意に上昇していることを確認した. 本研究では,東北メディカル・メガバンク機構の大規模コホート症例を用い,日本人正常例各年代、性別毎の血管走行標準モデルを作成する.血管走行・壁ストレス標準モデルに対して,個人の逸脱の程度を評価する方法として,血管の位置座標のmeanとSDを用いることを考えている.脳底動脈,内頸動脈,中大脳動脈,前大脳動脈の標準位置情報にmeanとSDが求められる。血液濃度,粘度と脳底動脈流速を文献より理論値として用い,脳底動脈の面積が狭いところ(狭窄部)では血管ストレスが高いことを確認した.本研究では,頸動脈超音波において内頸動脈,椎骨動脈流速を測定していることを利用し,より正確に血管壁ストレス測定を行うため,個別のinput functionとして内頸動脈,椎骨動脈流速を用いてCFD解析を行った. 東北メディカル・メガバンク機構では,PITX2,ALDH2,FOXF2,ApoE, CETPなどの脳血管障害関連遺伝子情報を取得し,これらの因子,性別,年齢,生活習慣(高血圧,糖尿病,脂質異常)の程度,罹病期間が血管走行・壁ストレス標準モデルからの逸脱定量パラメータと関連するかどうかを検証する.縦断的な経過観察により,イベント発生に関連するファクターを検証する.病院からは,脳梗塞,脳出血のイベントを発生した症例の情報を取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東北メディカル・メガバンク機構では,PITX2,ALDH2,FOXF2,ApoE, CETPなどの脳血管障害関連遺伝子情報を取得し,これらの因子,性別,年齢,生活習慣(高血圧,糖尿病,脂質異常)の程度,罹病期間が血管走行・壁ストレス標準モデルからの逸脱定量パラメータと関連するかどうかを検証する.縦断的な経過観察により,イベント発生に関連するファクターを検証する.病院からは,脳梗塞,脳出血のイベントを発生した症例の情報を取得した。 データ収集は概ね順調に進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、高血圧モデルにおいて血管走行・壁ストレス変化を確認する(2021-23年度,担当安西).高血圧自然発症モデルは加齢に伴って高血圧を発症し,収縮期血圧が200mmHg前後まで上昇する.脳卒中易発モデルはさらに高血圧が重症(220mmHg以上)で,全例で脳血管障害を起こす.我々は,モデルの脳MRIに対し,標準化を行う技術を有している(Neuroimage.2015 Jan 15;105:84-92).高血圧自然発症モデル,脳卒中易発モデル,正常血圧モデルそれぞれN=10に対し,脳MRAを撮像する.標準脳座標に変換し,各断面で血管の中心点を抽出し,中心点を結ぶことにより中心線を求める. 経時的な脳血管分岐点の座標および座標変化を3群で比較する.さらに脳卒中発症の有無をMRI撮像により確認し, 脳卒中発症の有無と各時期の脳血管分岐点の座標および座標変化を対比する計画である.
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