2021 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病の病態解明に資する変異型LRRK2を標的としたPETプローブの開発
Project/Area Number |
21K07632
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
森 若菜 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 研究員 (30835442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤永 雅之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員 (70623726)
山崎 友照 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員 (80627563)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | LRRK2 / パーキンソン病 / PETプローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
家族性パーキンソン病(PD)において、最も高頻度で発現する病因遺伝子であるLeucine rich-repeat kinase 2(LRRK2)遺伝子をターゲット分子として、家族性のみならずPDの根本的な病態解明に資するG2019S変異型LRRK2を標的とした新しいPETプローブの開発し、パーキンソン病治療薬の薬効の評価を行うことを目的とする。 初めに変異型LRRK2と相互作用がある化合物を無料データベースのPubMedのみならず、SciFinderを用いて調査して、数種類の基本構造を得た。そのなかでも、ピロロピリミジン環を基本骨格とした化合物のいくつかは、LRRK2に対して強い活性を持つことが報告されていたので、置換基の位置や種類を変更させた候補化合物(分子量:300~500程度)を選定した。その候補中より、申請者らの所属研究部で製造および使用可能な放射性合成中間体を用いて合成可能な候補化合物を選び、実際に合成を行った。 容易に入手可能な市販試薬を用いて、標識合成に使用する原料ならびに標品をそれぞれ4工程で合成した。各々の化合物の構造や純度は、NMRやMS、HPLC等により決定した。標識合成は一般的な18F化の条件である[18F]KFを用いて検討したが、満足できる結果ではなかった。そこで、[18F]F-のカウンターイオンとしてTetraethylammonium bicarbonate(TEAB)で検討することとした。 現在、標識合成および細胞実験、動物実験の準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LRRK2に対して強い相互作用を持つリード化合物を決定し、そこから申請者らの所属研究部で製造および使用可能な放射性合成中間体である短寿命核種(11C : t1/2=20分、18F : t1/2=110分)を用いて合成可能な候補化合物を選定した。合成を行う際に必要な市販試薬などを購入後、合成に着手した。合成経路は既存の合成法を参考にした。 標識合成に用いる原料および標品が得られたため、標識合成の検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは18F化の標識合成および動物実験を行う。その結果を踏まえて、リード化合物と同位置で標識分子が異なる化合物をさらに合成し、in vivoでの評価を行う。並行して、数種類の位置異性体の標識原料および標品の合成を行う。また、標識合成法も既存の合成法のみならず、申請者らの所属研究部で製造および使用可能な放射性合成中間体を用いて、合成検討を行う。得られた標識薬剤は動物実験(in vivoでの評価およびパーキンソン病モデルラットを用いた実験など)に供し、構造活性相間研究を行う。
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Causes of Carryover |
試薬や物品が予定よりも少額で済んだ。 物流の関係で市販薬の入手が遅れ、合成開始が遅くなった。また、コロナの影響により、テレワークや人数制限があったため合成実験や標識合成検討の機会が少なく、次年度の使用が生じた。 随時必要な試薬やHPLCカラムなどの物品購入及び学会発表のための参加費や旅費などに使用予定。
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