2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new analysis method that is simple, objective and applicable to various amyloid PET tracers
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21K07635
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Research Institution | Research Institute, Shiga Medical Center |
Principal Investigator |
奥山 智緒 滋賀県立総合病院(研究所), 画像研究部門, 上席専門研究員 (40347464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 達也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 分子イメージング診断治療研究部, 部長(定常) (50324629)
加川 信也 滋賀県立総合病院(研究所), 画像研究部門, 主任研究員 (10393191)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アミロイドPET / 客観的解析方法 / トレーサ / C-11-PiB / F-18-FPYBF2 / F-18-florbetapir / F-18-flutemetamol |
Outline of Annual Research Achievements |
<F-18-FPYBF2 86症例の検討>アルツハイマー(AD)、軽度認知機能障害(MCI)、健常ボランティア(HC)に施行されたFPYBF2-PETの全脳のPETデータのヒストグラムより、Mean, Median. Mode、四分位の値の比、Skewness、Kurtosisを求めた。AD症例においては、negative skewness、Mode/median ratio (MMR)>1が特徴であり、HCとの間には有意差(p<0.0001)が確認された。さらに、PET/CTのCTを用いて標準脳に変換した画像をもとにした既存の白質 probability mapを重ね合わせ、白質と皮質ヒストグラムを作成し、HCでは一峰性である皮質のヒストグラムが、異常アミロイド沈着に伴って幅が広がり、進行例では二峰性になることが特徴であることを確認した。 <2核種を用いたPET画像並びにヒストグラム解析の比較>①FPYBF2 vs C-11-PiB(PiB) :13例(HV1,MCI3,AD5、そのほかの認知症4例)にて自動ROIテンプレートを用いた皮質のSUVR(小脳皮質reference)、全脳ヒストグラムのskewnessは両薬剤で良好な相関(r^2=0.973、0.861)がみられた。皮質ヒストグラムの形態は両薬剤で類似していたがAD症例でPiBがFPYBF2に比べ高位に位置しやすいことを確認した。②FPYBF2 vs F-18 Florbetapir (Florbetapir): 2製剤の検査施行した6例(HC2、MCI4)において、PET画像並びにヒストグラム、並びにヒストグラムデータを用いた数値指標は、高い一致性を示している。 ③FPYBF2 vs F-18 Flutemetabol (Flutemetamol): 2製剤の検査施行5例(HC1,MCI4)の比較にて、Flutemetamolは、視床や橋の分布において相対的に高集積を示す特徴があるが、皮質のヒストグラムの形態は、FPYBF2との類似性を示している。 ④FPYBF2を用いた経時的なフォローアップ:過去にFPYBF2を用いた検査を行ったMCIならびにAD症例のフォローアップ(期間の平均5年:2年から9年)2回目検査5例を施行し、ヒストグラム指標の増加を数値で確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アルツハイマー病(AD)症例、軽度認知機能障害(MCI)症例、健常例(HC)を対象に、2核種による別日のPET検査、およびMCI症例あるいは早期AD症例における1年半後のフォローアップを行う検討である。 令和3年度に引き続き、新型コロナウイルス感染のための、病院受診控えや、患者付き添いの人数制限などの影響で、患者登録が遅れ気味である。 令和4年度に、当該研究施設のPET/CT装置の機器更新があり、検査施行のできない期間が生じたこと、並びに、フォローアップ予定症例の1回目の登録症例の集まり、ドロップアウトなどにより、令和4年度の当初予定症例数には到達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討にて、ROI解析を用いない全く新しい解析方法としてのヒストグラム解析の確実な有用性を確認している。今後は、さらにそのトレーサ間の汎用性を確認すべく、2核種解析を進めるとともに、皮質ヒストグラムにFlutemetamolの解析をする際にも影響を受けにくいデータ抽出方法を探る。 また、近年アミロイドPETの評価として主に用いられているCentiloid評価との比較検討を行い、数値のみで検出されるCentiloidとの違いを明らかにする。 さらに、従来の標準脳に基づく様々の定量解析との差別化を明らかにして、アミロイド高沈着部位を個々の症例において評価するために、PET/CTの個々の患者のCT画像上に、ヒストグラムの上位部位をカラー表示する新しい画像表示法を確立する。従来のアミロイド評価では、各種ソフトを用いた定量解析の他は画像上の視覚評価を行うことが基本であり、ROI解析・標準脳では形態的な個体差の影響を考慮していないため、脳室拡大や脳委縮の強い症例では、評価にぶれが生じるリスクも備えている。現在考案中のマップ表示では、FPYBF2とPiB、FPYBF2とFlorbetapirはほぼ同等のイメージを示し、Flutemetamolでは、視床と橋の分布が高いため、表示閾値を調整すれば同等のイメージを示すことが確認された。 今後は、これらのヒストグラム解析と、カラーマップ表示方法をさらに高精度なものに調整し、汎用性のあるシステムを構築したのちに、特許申請や、各種成果報告を順次進める予定である。
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Causes of Carryover |
当該施設の倫理委員会の申請承認後(令和3年の下半期)からの研究開始となっている。新型コロナウイルス感染症による病院受診控えや、付き添い者人数制限などの関係で、認知症患者の検査予約が予定通りに進まなかったことに加え、令和4年度には、当該研究施設におけるPET/CT装置の機器更新のために、検査が行えない期間があり、検査予定が遅れている。 また、内容に関し、特許申請の可能性も検討してきたため、本研究に関連する学会発表や論文発表などの成果報告の大部分を控えている状況である。そのため、該当する予定使用額を用いなかった分については、次年度での使用を予定している。特許申請については現在弁理士との具体的な相談を進め、知的財産としての特許申請の妥当性について検討中である。具体的に特許取得になる場合には、必要な費用に充てる可能性がある。 次年度は、令和4年度までに予定通り進まなかった2核種検討の症例を進め、さらに、成果報告を順次進める計画としている。
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Remarks |
特許申請を考慮し、研究内容、研究成果は公表を控えている。
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