2021 Fiscal Year Research-status Report
Radioceranostics Drug Design Strategy for Tumor-Targeting Nanoparticles for Clinical Use
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21K07653
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山本 文彦 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (40253471)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラジオセラノスティクス / 分子イメージング / 放射性標識合成 / 腫瘍 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
「111In標識AB型ラクトソームの開発と腫瘍集積性評価」では、先行研究においてI-125標識体では、ABC現象を軽減可能なA3B型よりも、ABC現象を発現するもののAB型の方が単回投与時の腫瘍集積量が高かったことから、核医学治療目的にはAB型を採用した方が優位であると予想した。そこで核医学治療やセラノスティクスとしての可能性を追求するためにIn-111標識体のA3B型ミセルとAB型ミセルの腫瘍集積量の比較を行った。腫瘍集積(%dose/g)は24 h後においてIn-AB型は2.1、In-A3B型は9.5であり、I-125標識体と異なりA3B型の集積量が多かった。また骨髄への集積はIn-A3B型が24 h後において11.8であり、In-AB型は1.0と低く、In-AB型に対しIn-A3B型が不安定であることが示唆された。骨髄への集積はA3B型の性質であり、核医学治療という観点からは腫瘍集積量はA3B型よりも少なくてもAB型の方が優位である可能性も考えられた。
「ABC現象を回避するポリグリセロール修飾ラクトソーム開発」としてABC現象を回避する官能基をラクトソームに導入する構造変換を目指し、Cbzアミノプロパノールを出発原料としてlin-PGを導入したのちにアミノプロパノール側のNH2基にPLLAを伸長する方法と、2-メトキシエタノールを出発原料として導入したlin-PGの2級OHにPLLAを伸長する方法の2通りのPLLA(30mer)-lin-PG(10mer)の合成について種々検討を行った結果、前者の方法ではエトキシエチル基の脱保護がほとんど進行せずさらなる検討を要したが、後者の方法は、酸を用いた効率の良い脱保護法を見出すことができ、目的とする両親媒性ポリマーが得られることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「111In標識AB型ラクトソームの開発と腫瘍集積性評価」では、予想とは異なりIn-111体ではAB型の方が腫瘍集積量が低くその理由も不明ではあるが、骨髄集積性について新たな知見が得られたためAB型の方が核医学治療に有利であることは変わらないと考えている。 「ABC現象を回避するポリグリセロール修飾ラクトソーム開発」では、最も律速だと予想したPLLA(30mer)-lin-PG(10mer)の効率的合成が比較的短期間で確立できた。粒子化とインビボのABC現象評価は基本的な方法は確立している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画通りに推進していく予定である。 「111In標識AB型ラクトソームの開発と腫瘍集積性評価」では、I-125標識体と異なる動態が得られたことについて検討していくとともに、腫瘍集積能を向上させるための構造修飾について検討が必要である。またABC現象を軽減する構造改良も検討する予定である。 「ABC現象を回避するポリグリセロール修飾ラクトソーム開発」では、PLLA鎖の重合度達成のための最適条件や、ナノ粒子化、標識合成の検討、ステルス性を保持する修飾率等を検討する。ステルス性を失わない修飾率の確定は重要でありそのため、先行研究で明らかにした葉酸修飾ラクトソームの最適化条件を参考にしたい。インビボ評価以外に、ELISA法を用いた抗体量測定法の開発も検討する。
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Causes of Carryover |
理由の1つめは、成果発表のための国内学会がコロナ禍による行動制限により、オンライン形式となり、参加のための費用や旅費の執行が年末のために次年度となってしまったりオンラインのため執行が必要なかったりしたためである。執行が必要な分は次年度の早い時期に執行する予定である。 理由の2つめは、当初初年度に購入予定であった有機溶媒濃縮装置であるが、半導体不足等により納期遅れが予想され、これにより実験の進行には大きな影響はないと判断したため、次年度以降に購入することにして持ち越した。
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