2023 Fiscal Year Annual Research Report
mGluR1を標的とするα線Radio-theranosticsシステムの確立
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21K07659
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
謝 琳 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員 (30623558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
胡 寛 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 研究員 (00827678) [Withdrawn]
藤永 雅之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 主幹研究員 (70623726)
破入 正行 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員 (80435552)
張 明栄 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 部長 (80443076)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 代謝型グルタミン酸受容体1型 / Radio-theranostics / PET診断薬 / α線治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くのがん種に異常発現する癌蛋白質“代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)を標的に、同一低分子化合物の骨格を持ちながら、異なる放射性核種で標識した放射性薬剤18F-FITMと211At-AITMを開発した。今回の研究では、PET診断薬18F-FITMをα線治療薬211At-AITMとセットにし、ヒトメラノーマ、乳がん、大腸がん等を対象とするがん種横断的なα線Radio-theranosticsシステムを確立することを目的とする。 R5年度には、mGluR1陽性のメラノーマ担癌マウスに対して、18F-FITMと211At-AITMの体内動態の類似性を評価した。その結果、18F-FITMはmGluR1陽性の標的腫瘍だけではなく、脳内でも高い放射能の取り込みを示した。このことは、18F-FITMにより標的腫瘍及び他の器官に対する検出選択性の減少をもたらす可能性がある。このため、18F-FITMがmGluR1陽性がんの検出に役立つと考えられるが、腫瘍内のmGluR1発現を定量化したPET画像から211At-AITMの安全性と治療効果の判別に、過小評価をするリスクがある。この欠点を克服するために、診断用11C-IITM2と治療用211At-AITM2という2つの新しい化合物をそれぞれ合成し、特性を評価した。その結果、mGluR1陽性の担癌マウスを用いた11C-IITM2 PETが腫瘍を明瞭に描出した。また、11C-IITM2は18F-FITMと比較して、投与後60分で脳内の放射能集積が26.42%まで抑え、標的腫瘍部位に3.69倍の高い放射能集積を保持した。更に、211At-AITM2を同様の担癌マウスに投与すると、顕著な抗腫瘍効果が認められた。これらの結果から、11C-IITM2と211At-AITM2が新しいラジオセラノスティクス薬剤として極めて有望であることは示された。
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