2021 Fiscal Year Research-status Report
LETの違いを応用した次世代陽子線FLASH照射の生物学的解明と臨床応用の構築
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21K07682
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岩田 宏満 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (40611588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
歳藤 利行 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30377965)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | FLASH / 超高線量率照射 / LET / 陽子線 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)シンクロトロン加速器で LET を変化させた FLASH 照射(超高線量率照射)を、安定的に確保するために、ビーム電流の制御、及び出射用高周波の電圧調整を加速器サポート班と行った。さらに、高精度な照射位置・jig を設計し、開発導入を行った。またプラスチックシンチレータ―などの線量モニターによる実行線量測定を行い、技術精度の確立を行った。シンクロトロン加速器によるFLASH照射の線量率(40Gy/s以上、1回線量8Gy以上)を満たしながら、spread-out Bragg peak(SOBP)形成が確認された。 2)FLASH照射実験用に鶏卵腫瘍移植モデルを導入した。鶏卵(有精卵)の孵化条件の確認、孵化前の照射条件の確認、腫瘍移植の確認を行い、至適条件の確認調整を行った。リング埋め込みを行い、PIASシステムでリングの可視化、同定を行い、照射条件の精度達成が確認された。鶏卵に対して実際のFLASH照射を施行し、皮膚・皮下表面・脳表などの評価を行ったところ、毒性軽減、つまり正常組織保護のFLASH効果の確認が得られた。 3)正常細胞・癌細胞のin vitro モデルやショウジョウバエにおける実験系の確立を行うため、各種予備実験を施行した。同時に多数の検体での照射評価を行うため、ビーム走査を行い、照射条件の最適化を行った。低酸素環境導入のため、低酸素インキュベーターを購入し、準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の全体3年の研究計画のとおり、FLASH照射のビーム調整や照射方法に対する技術精度の確立が進んだ。また鶏卵に対して実際の照射を行い、FLASH効果の確認が得られた。In vitroでの評価をしていくため、低酸素インキュベーターの導入もすすみ、準備状況が整えられたため、おおむね順調に進展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
1) FLASH照射のin vivoにおける、脳内観察を行い、細胞や組織の評価を行っていく、また移植した腫瘍において、Tunnel法など細胞死評価を行い、各種比較する予定である。 2) 低酸素環境下において、in vitro でのFLASH効果の評価・確認を行う予定である。 3) モンテカルロシミュレーションによって、照射位置精度の評価、生物効果予測の検証を行う予定である。 4) 照射野拡大を視野にリッジフィルターの開発を行っていく予定である。
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