2021 Fiscal Year Research-status Report
拡散強調画像を用いた健常脳温度測定による生理的変動の解明と病的脳温測定の臨床応用
Project/Area Number |
21K07684
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
下野 太郎 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70340817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 幸雄 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (80303824)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
脳温度は脳の神経活動に要する脳代謝を反映する重要なパラメーターとされている。そのため、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を用いての脳温度測定が様々な手法で試みられてきたが、時間を要しいささか煩雑であった。しかし近年、拡散強調画像を用いて、脳温度を非侵襲的に簡便に測定する方法が開発された。拡散強調画像とは水素分子の運動を画像化したものであり、日常診療でルーチン検査の一つとして広くMRI検査において撮像されている。その画像を解析することによって簡便に脳室内温度(脳温度)を測定することができる。 研究代表者(下野)らは、過去に本法を用いて健常女性の生理周期における体温と脳温度の変化と相関性について報告した。しかし、それ以外に健常者における体温と脳温度の関係は未だほとんど報告されておらず、これを明らかにすることが、疾患を有する患者群において脳温度を評価する際に重要な基礎データになると考える。 健常者において、生理的に体温は約1度程度の日内変動を来すとされ、朝方は低温期、夕方は高温期になるとされている。この体温の変動に伴って脳温度が変動するかどうかを、本研究では検討する。低温期の早朝と高温期の夕方の2回に、体温測定と脳温度測定のための頭部MRI撮像を行い、これらから健常者における体温と脳温度のデータを取集し、解析する。その後、中枢神経疾患を有する患者群における体温と脳温度のデータを収集・解析し、健常者群と患者群を比較して、その差異を明らかにして臨床応用を図ることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費への申請が採択された後に、本研究の実施について大阪市立大学医学部(現 大阪公立大学医学部:2022年4月から名称変更)の倫理委員会に申請を行い、2021年6月に申請が受理された。倫理委員会に申請が受理された後に、被検者(脳に器質的疾患の既往がない20~30歳台の男女を対象と、目標人数は30-40名と設定した)の募集を開始した。 検査の具体的な内容としては、午前8時~8時30分と午後17時~18時の時間帯に頭部MRI検査を行い、午前と午後の検査は同日に行うと規定した。頭部MRI検査は2021年4月に当施設に新たに導入されたSiemen社の3テスラMRI装置(Magnetom Vida)を用いることとした。また体温はMRI検査前後に腋窩温・鼓膜温を測定すると定めた。 1例目は2021年7月29日に検査を行い、頭部MRI検査で撮像した拡散強調画像から脳温度が測定できることを確認し、2例目以降のデータ収集を行った。 昨今の新型コロナウイルス感染症流行のため、当施設では病院関係者以外の病院内への立ち入りが制限されており、病院関係者以外でのボランティア被検者の募集が十分に行えない状況となっている(2022年4月時点)。このため当施設関係者(病院職員・大学生・大学院生)からボランティア被検者を募集し、現在24名の被検者に対して検査を行い、データを収集した。前述の理由で被検者の募集が予定よりも遅れが生じており、現時点では目標被検者数の6-7割程度に留まり、現在も被検者の募集・データ収集を継続して行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
健常者でのデータ取集が完了した後に、体温と脳温度の日内変動の有無や体温と脳温度の日内変動の相関に関して解析を行う。また被検者群の層別化(性別、年齢)を行い、群間での脳温度の日内変動についても解析を行う。これらの結果をまとめて学会発表、論文発表を予定している。 また健常者における脳温度の日内変動に関する十分なデータが得られ後に、患者群においても脳温度に日内変動に関するデータ収集を行い、健常者群と患者群での比較を検討している。
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Causes of Carryover |
健常者でのデータ取集が完了した後に、体温と脳温度の日内変動の有無や体温と脳温度の日内変動の相関に関して解析を行う予定であり、また被検者群の層別化(性別、年齢)を行い、群間での脳温度の日内変動についても解析を行う予定である。これらの結果をまとめて学会発表、論文発表を予定している。 また健常者における脳温度の日内変動に関する十分なデータが得られ後に、患者群においても脳温度に日内変動に関するデータ収集を行い、健常者群と患者群での比較を検討している。 上記に関する足りない健常者へのボランティア謝金、研究をサポートして下さった方々への謝金、データ解析などにおけるデータ保存のためのディスクやハードディスク、解析や論文作成に必要なソフト、コピー用紙などの必要物品が、研究発表をする学会参加費、旅費、宿泊費、などが必要と考えられる。
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