2023 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫根治に向けて-ポドプラニン標的α線放射免疫療法と高精度線量評価法の開発
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21K07688
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
須藤 仁美 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主任研究員 (10415416)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポドプラニン / 放射免疫療法 / 中皮腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射免疫療法は、殺細胞効果の高い治療用RIで標識した抗体を投与し、体内から腫瘍に放射線を照射する放射線療法であり、高い抗腫瘍効果を示す。ポドプラニンは、中皮腫の診断マーカーの一つであり、治療の分子標的としても注目されている。昨年度までに、β線放出核種 Y-90及びα線放出核種Ac-225で標識した抗ポドプラニン抗体は、重篤な副作用なしに高い治療効果を示すことを明らかにした。特に、Ac-225標識抗体はY-90標識抗体に比べてより高い治療効果を示した。さらに、臨床応用に必要なエビデンスを得るため、より臨床に近い同所移植モデルを作成した。このモデルを用い、尾静脈投与と胸腔内投与による標識抗体の体内動態の違いを検証するとともに、正常臓器や腫瘍の吸収線量の推定を行った。投与法により標識抗体の動態は異なるものの、正常臓器や腫瘍への集積は同程度になった。また体内動態の結果をもとにY-90及びAc-225標識抗ポドプラニン抗体を投与した際の吸収線量を推定したところ、胸腔内投与は尾静脈投与に比べ、投与線量を制限する臓器である骨髄への線量が低いことを明らかにした。当該年度は、Ac-225標識をより効果的に行うためのキレートの最適化を行なった。最適化したキレートを用いてRI標識した抗体を同所移植モデルマウスの胸腔内または尾静脈より投与し、治療効果及び副作用の検証を行った。同所移植モデルにおいてもRI標識抗体は高い治療効果を示したが、投与法による抗腫瘍効果の差は認められなかった。しかし、尾静脈投与マウス群では、胸腔内投与群に比べて、標識抗体投与後の白血球数及び血小板数の著しい減少が認められた。これらのことから、RI標識抗ポドプラニン抗体を胸腔内より投与することでより安全に効果的な治療を行うことができると考えられる。
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