2023 Fiscal Year Research-status Report
頭頚部放射線治療時の口腔粘膜炎発症予測情報の共有による新規介入方法の検討
Project/Area Number |
21K07693
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
武者 篤 群馬大学, 重粒子線医学推進機構, 助教 (60637122)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 口腔粘膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部放射線治療の急性期有害事象として粘膜炎は発症しやすく、重篤化は闘病意欲の低下や治療完遂に影響を与える。我々は、粘膜への照射線量を3次元的に表現することに着目し、照射線量をモデル化(線量モデル)することに成功している。本研究では、頭頸部領域の重粒子線治療患者を前向き研究として登録、線量モデルを利用して患者ならびに医療スタッフが発症予側部位を視覚的に認識することの有効性について検討した。まず、MIM Maestro ver.6.0.2(MIM Software Inc, USA)にて粘膜(口蓋及び舌)の輪郭を作成し、患者個々の粘膜への線量を反映させた線量モデルを作成した。作成した線量モデルによる有害事象発症リスク部位の確認は看護師が対象患者とともに繰り返し確認した。粘膜炎の観察は、Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) version 4.0にて評価した。セルフケア(含嗽、歯磨き)の回数の確認や照射部位やセルフケアに対する質問(照射部位の認識状況やケアに関する自信などに関する質問項目をVisual Analog Scale(VAS)にて評価)の回答をもとに含嗽や口腔ケア方法についてフィードバックを行った。セルフケア回数は経時的推移による有意な差は認められなかったが、照射部位の認識状況やケアに関する自信などに関する質問項目では治療前や開始直後に比べ経時的にVAS値の増加を認めた。患者自身による線量モデルによる照射部位の把握は、セルフモニタリングから適切なセルフケアの動機付けにつながる可能性が示唆された。一連の口腔粘膜炎に対する研究は、最終的に患者参加型の放射線治療の提供を目指している。現在は粘膜炎の発症予測に関して口腔細菌の要因に関して解析中であり、今後の研究の展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粘膜モデルにて主に照射線量による粘膜炎の発症予測だけでなく、粘膜炎発症のその他の因子として、口腔清掃状況(口腔細菌数)と粘膜炎発症の関連について、前向き観察研究として実施し論文としても受理された。今期では粘膜モデルによる看護介入の可能性に関してVAS評価等にて解析し現在投稿準備中である。また、粘膜炎の発症や改善に関与する細菌の詳細な種類を解明する為に、口腔内細菌の遺伝子解析を前向き研究で行っている。現在患者登録中の状況である。研究開始時に立案した研究目標としては達成しているが、より研究を推進させるために、口腔内細菌遺伝子解析の研究を今後も継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
患者個々に作成された放射線治療計画から粘膜モデルを作成し、粘膜炎発症を事前に把握、患者説明・指導や医療従事者への情報提供としても視覚的に訴える看護介入の前向き研究は現在データ解析中であり、近日中に論文報告予定である。本報告では、粘膜モデルによる患者への効果だけでなく、医療スタッフへの影響に関しても言及する予定である。また、粘膜炎の発症や改善に関与する細菌の詳細な種類を解明する為に、口腔内細菌の遺伝子解析を前向き研究として患者登録中である。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き本年度も研究はスムーズに進んでいるが、遺伝子解析の際の費用は次年度に必要と判断したため、遺伝子解析を次年度以降に繰り越す予定
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