2021 Fiscal Year Research-status Report
静脈血栓塞栓の質的診断に繋がるDual-energy CTによる血栓の成分解析
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21K07706
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
古小路 英二 宮崎大学, 医学部, 講師 (00423723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 篤 宮崎大学, 医学部, 准教授 (90372797)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Dual-energy CT / 血栓 / 静脈血栓塞栓症 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年導入が進んでいるDual-energy CTにおいては、2種類の異なる管電圧のX線で同時に撮影することにより、これまで困難であった血栓などの微細な構造の組成を弁別することが可能となった。本研究ではこのモダリティを用いて血栓の詳細な性状評価を行い、血栓症の治療、予防に貢献することを目的とする。検討項目としてまず、Dual-energy CTにて撮影された静脈血栓塞栓症例における血栓のCT値、実効原子番号値、電子密度値を測定し、各測定値と血栓の部位、発症時期、遊離の有無、器質化との関連等の解析を行う。また、生体内実験としてウサギの静脈血栓モデルを作成し、血栓形成後の各時期の血栓を採取し、Dual-energy CTにて撮影、解析を行う。実験として本年度はまず、ウサギ頚静脈を用いて各時期の血栓を作成した。血栓形成後1日、3日、1週間、2週間、3週間、4週間目に頚静脈を採取し固定、その後スライド切片を作成し、血栓の組織学的評価を行った。各血栓中の成分(赤血球、マクロファージ、平滑筋細胞、鉄、コラーゲン等)の陽性部位、面積率を測定した結果、初期は全体が赤血球を主体とした血栓であり、徐々にマクロファージ、平滑筋細胞、鉄、コラーゲンが種々の割合で増加する器質化血栓への性状と変化した。これらの静脈血栓の性状と、採取直後に撮影したDual-energy CTで得られた血栓のCT値、実効原子番号値、電子密度値との関連の検討を行った。現在実験を継続しつつ関連性を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究として予定していた静脈血栓の性状分析を組織学的に行った。血栓形成後の各時期において、赤血球、マクロファージ、平滑筋細胞、鉄、コラーゲン成分等の差異が認められた。また、この各時期とDual-energy CTで得られたCT値、実効原子番号値、電子密度値の解析ではそれぞれ有意差が示唆され、血栓の性状とCT画像との関連性が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
ウサギの静脈血栓モデルを作成し、生体内実験を継続する。また、過去にDual-energy CT検査を受けた静脈血栓塞栓症例を抽出し、下肢深部静脈および肺塞栓血栓中のCT値、実効原子番号値、電子密度値の解析を行い、血栓症の経過、部位、患者背景、血液データ所見等との関連を検討する。
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Causes of Carryover |
ウサギ静脈血栓モデルの作成、組織学的評価、CT撮影を年度内に計4回行う予定であったが、スライド切片の作成等に時間を要したため、計3回の施行となった。このため必要な動物の購入費や飼育費、実験器具の購入費等が減少した。
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