2023 Fiscal Year Research-status Report
クローン病の腸管MR画像におけるマルチベンダー対応AI画像診断支援システムの開発
Project/Area Number |
21K07721
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
北詰 良雄 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00625478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藍 真澄 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 教授 (00376732)
竹中 健人 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座講師 (10783368)
藤井 俊光 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (30547451)
渡邉 亮輔 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (30897525)
内村 祐之 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任講師 (40574124)
木村 浩一朗 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (90898355)
土屋 純一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (30815527)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クローン病 / MRエンテログラフィ / 画像診断 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
クローン病は消化管全域に炎症・潰瘍を起こす病変の再燃・寛解を繰り返して進行性に狭窄や瘻孔を形成する原因不明の炎症性腸疾患である。腸管のMR撮像法であるMRエンテログラフィで評価可能な”全層性治癒”は、新たな治療目標として注目されている。しかしながら、MRエンテログラフィの診断は、読影者間の一致度も必ずしも高くないことが問題点であり、人工知能(artificial intelligence, AI)を活用した画像診断支援システムの開発は喫緊の課題である。 本研究課題の目的は、多施設・マルチベンダーのMR画像に対応したクローン病の腸管病変評価のためのAI画像支援システムを開発することである。 2023年度については、「深層学習を用いた、クローン病の腸管MRIに対する病変検出の検討」を行った。深層学習アーキテクチャとしては、convolutional neural networkの一つである、3D U-netを用いた。東京医科歯科大学付属病院でMRエンテログラフィ、バルーン小腸内視鏡を施行されたクローン病患者101例を対象として検討を行った。50例を訓練データ、30例を検証データとしてMask R-CNNによる学習を行った後、学習済みモデルを用いて残りの21例に対して腸管全体と病変検出の試験を行った。クローン病の内視鏡スコアであるSED-CD 22以上の重症炎症患者の検出におけるAIの受信者動作特性曲線の曲線下面積(area under the curve)は0.78であり、重症症例における病変検出の可能性は示された。ただし、軽症の病変の検出は現状困難であり、更なる手法の見直しが必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年度のMask RCNNを用いた検討では、101例の患者に炎症部位と腸管全体にアノテーションを行い、50例を訓練データ、30例を検証データとしてMask R-CNNによる学習を行った後、学習済みモデルを用いて残りの21例に対して腸管全体と病変検出の試験を行った。 アノテーションを施した領域と、AIの予測した領域の類似度の指標であるDICE係数を算出したところ、腸管全体については、平均0.68(標準偏差0.11)、病変部は0.20(0.25)であった。病変部のDICE係数については、内視鏡の重症度であるSES-CDとの関係を調べると、22以上の5症例の場合は0.49(0.19)、22未満の16症例は0.08(0.15)であった。SED-CD 22以上の重症炎症患者の検出における、AIの受信者動作特性曲線の曲線下面積(area under the curve)は0.78であり、重症患者における病変検出の可能性は示された。より軽症の病変の検出には、更なる手法の見直しが必要な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の検討で非病変部との区別ができなかった原因としては、アノテーションの方法に問題があった可能性と、症例数不足が考えられる。今回は内視鏡所見をベースとして病変にアノテーションをつけて学習させたが、一見炎症のない部位も含まれていた。MRIで明瞭な病変の部分に限定してアノテーションをつけること、また症例を増やすことで「炎症のない腸管」の様々なvariationに対応させることが必要と考えられる。
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Causes of Carryover |
今回は購入を予定していた設備備品(解析用PC、画像保存用NAS、PCモニター)については、研究機関延長のため次年度に繰上げとした。 また、当該年度については学会発表を行わなかったため、それに伴う費用が発生しなかった。
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