2021 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュを用いた遠位尿細管アシドーシスに伴う難聴発症のメカニズム解明
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21K07756
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
池内 真代 大分大学, 医学部, 医員 (80865668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 真紀 大分大学, 医学部, 助教 (20726913)
清田 今日子 大分大学, 医学部, 医員 (30774492)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遠位尿細管性アシドーシス / 難聴 / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性の遠位尿細管性アシドーシス(distal renal tubular acidosis :dRTA)は、腎の集合管におけるV-ATPaseの異常により酸分泌障害をきたして代謝性アシドーシスを来すほか、感音性難聴の合併も多い。重炭酸によるアシドーシスの治療は、成長障害や腎石灰化の改善に効果的であるが、感音性難聴は発症時期や機序が未だ解明されておらず、また進行性かつ不可逆性であるため、患児のQuality Of Lifeを下げる主な要因となる。 dRTAの原因遺伝子の一つであるATP6V1B1は、腎の集合管とともに内耳の内リンパ嚢にも発現しており、pH調整に関与する。そのため、V-ATPaseの内耳における酸分泌障害は、感音性難聴の発症に関与すると考えられる。 我々はATP6V1B1の相同遺伝子であるatpv1baを改変したゼブラフィッシュを作製して、内耳での酸塩基平衡における障害と難聴の関連を検討し、dRTAにおける感音性難聴発症のメカニズムを解明することを目的としている。 2021年度は、遠位尿細管性アシドーシスの原因遺伝子のオーソログであるatp6v1ba 遺伝子改変ゼブラフィッシュを作成し、この疾患モデルフィッシュにおける内耳の形態学的特徴等について解析を行い,いくつかの知見を得ることができた。 また、GFP の一種であり、pHの違いによりその蛍光強度が変化するpHluorin2の遺伝子を導入した個体の系統 ( pHセンサーフィッシュ )も作成済みであり、このpHセンサーフィッシュとatp6v1ba 遺伝子改変ゼブラフィッシュを用いて検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はatpv1ba遺伝子改変ゼブラフィッシュを2系統およびpHセンサーフィッシュの作成が完了し,飼育,繁殖が可能となった。これらを用いて、内耳の形態学的検討を開始できており、予定どおりに研究が兼行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は作成済みである遺伝子改変ゼブラフィッシュを用いて,形態学的検討をさらに進め、またpHセンサーフィッシュによる検討を並行して行い、疾患と難聴の関係性の解明および表現型回復実験を行う。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス流行下のため、学会発表用の経費として計上していた分が余った。疾患モデルフィッシュでの形態学的検討は順調に進んでいるため、今後機能的検討をするにあたり、新たに購入する物品があり、その購入費用に当てる予定である。
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