2023 Fiscal Year Annual Research Report
先制医療に向けた胎児発育不全における抗酸化物質を用いた胎児治療開発
Project/Area Number |
21K07777
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
村田 強志 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00867963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 冬馬 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60869006)
経塚 標 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00644113)
安田 俊 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50566817)
藤森 敬也 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80285030)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胎児発育不全 / 早産 / 低出生体重 / 活性酸素 / 子宮収縮抑制薬 / 血管拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
先制医療に向けた胎児発育不全における抗酸化物質を用いた胎児治療開発に向けた研究を行った。diet induced fetal growth restrictionの作成は困難であり、児へのストレスの代替案として、当教室で作成実績がある妊娠日齢120程度の早産・低出生体重胎仔モデルを対象とし、酸化ストレスを除去しうる物質として、子宮収縮抑制薬であるリトドリン塩酸塩を選択した。保存血清も含め、妊娠ヒツジ計10頭の母獣胎仔の血清を収集した。リトドリン塩酸塩は短期投与による血管拡張作用があると考えられ、微小組織の血流に影響を及ぼし、酸化ストレスを減少させるといった仮説を考えた。 早産・低出生体重胎仔モデルに対するリトドリン塩酸塩の母獣投与の有無によって、母獣、胎仔の活性酸素種マーカーの変動が生じるかどうかを調べた。リトドリン塩酸塩投与群ではリトドリン塩酸塩を2時間投与し、コントロール群では生理食塩液を2時間投与した。母獣、胎仔の血清はそれぞれ薬物投与前、薬物投与開始後1時間および2時間で採取した。採取した母獣、胎仔血清において、ELISAにて8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)を測定したが、リトドリン塩酸塩の投与前後において、また、リトドリン塩酸塩投与群と非投与群との比較において、8-OHdGの有意な変化は認めなかった。 早産・低出生体重胎仔モデルにおいて、リトドリン塩酸塩が母獣、胎仔の活性酸素種を減少させるantioxidative effectは証明されず、また、活性酸素種が増加する有害事象も示唆されなかった。胎児発育不全においてリトドリン塩酸塩が抗酸化物質して児に有益な効果を示す可能性は否定的であるが、一方でリトドリン塩酸塩の投与は母獣および胎仔の活性酸素種に影響を及ぼさず、子宮内胎児蘇生において大きな副作用なく使用できる可能性が示唆された。
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