2023 Fiscal Year Annual Research Report
ドラベ症候群の脳オルガノイド病態モデルを活用した発達性てんかん性脳症の病態解析
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21K07784
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田中 泰圭 福岡大学, 薬学部, 助教 (50714466)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Dravet症候群 / 発達性てんかん性脳症 / SCN1A / Nav1.1 / iPS細胞 / 脳オルガノイド疾患モデル / GABA作動性神経細胞 / 神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
作製した脳オルガノイドでは、MGE領域の遺伝子マーカーであるFOXG1およびNKX2.1の発現がダブルポジティブな神経幹細胞が観察された。これにより、目的通りにiPS細胞からMGEOsへ分化誘導されていることを確認した。12週間培養したMGEOsには、VGLUT1陽性な興奮性神経細胞、VGAT陽性な抑制性神経およびアストロサイトの発現が認められた。さらに、抑制性神経細胞においては、ドラベ症候群の病態に重要なParvalbumin(PV)陽性の抑制性神経細胞の発現も確認できた。これらMGEOsのMEA測定では、自発的な神経発火ならいびに神経の同期発火が観察され、神経細胞の成熟に伴った神経ネットワークが構築されていることも分かった。MGEOsを用いたRNA-seqを試みた結果、12個の遺伝子で発現量の変化が示唆された。特に、アポトーシスを抑制する遺伝子とシナプスオーガナイザーとして機能する遺伝子において、発現量の低下が強く示唆された。 DS患者のDEE発症には、興奮性神経と抑制性神経の機能バランスの破綻が引き金となり、群発するてんかん発作に伴った興奮毒性による神経細胞死の誘発が考えられる。また、DSモデルマウスにおいて、Tauタンパク質発現を減少させることで病態の予防に繋がることが報告されている。このことからも、DS患者のDEE発症には神経毒性の関与が示唆されている。本研究で発現量の変化を示した2個の因子は、アポトーシスとシナプスオーガナイザーに関連した遺伝子であり、DS患者由来MGEOsにおいても、DEE発症と神経毒性との関連性を示唆した結果である。今後は、DSモデルマウスにおいても、DS患者由来MGEOsで確認された遺伝子の発現が変化しているか解析する必要がある。
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