2021 Fiscal Year Research-status Report
ダウン症のTAMにおけるGATA1変異タイプと巨核球分化・白血病進展との関連
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21K07790
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
照井 君典 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00333740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 力 弘前大学, 医学研究科, 講師 (50195731)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / 一過性異常骨髄増殖症 / GATA1 / 血小板 / 巨核球 / 白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダウン症候群の新生児の約10%は一過性異常骨髄増殖症(TAM)という一過性の白血病を発症する。その多くは3か月以内に自然寛解するが、約20%の症例は肝線維症や呼吸循環不全のため早期に死亡する。TAMのほぼ全例で血球特異的転写因子GATA1の遺伝子変異がみられ、この変異は、完全長のGATA1タンパクが発現せず短縮型のGATA1タンパク(GATA1s)のみが発現するという異常を引き起こす。我々は最近GATA1変異の特定のタイプを持つ症例で有意に血小板数が多く、急性骨髄性白血病への進展が少ない傾向にあることを見出した。これらの変異タイプはGATA1sタンパクの高発現を引き起こすことから、GATA1sタンパクの発現レベルの違いがTAMの臨床像に影響を与えている可能性が考えられる。 ダウン症候群の急性巨核芽球性白血病細胞株であるCMK11-5に、ドキシサイクリンで発現誘導可能な変異GATA1遺伝子をSleeping Beautyシステムを用いて導入することにより、GATA1sタンパクの発現を誘導できる細胞が得られた。この細胞をドキシサイクリンで処理しGATA1sタンパクの発現を誘導したところ、巨核球関連遺伝子であるITGA2B、ITGB3、MPLの発現レベルの亢進がみられたことから、GATA1sタンパクの高発現が巨核球系への分化を促進する可能性が示唆された。今後、ゲノム編集により種々の変異GATA1遺伝子を持つCMK11-5細胞を作成し、変異タイプとGATA1sタンパクの発現レベル、巨核球系への分化能や細胞増殖能、未分化性との関連について解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、GATA1sタンパクの発現レベルの違いが巨核球分化に及ぼす影響を調べるために、ダウン症候群の急性巨核芽球性白血病細胞株であるCMK11-5に、ドキシサイクリンで発現誘導可能な変異GATA1遺伝子をSleeping Beautyシステムを用いて導入した。その結果、ドキシサイクリンで変異GATA1遺伝子の発現をゆるやかに誘導できる細胞が得られた。この細胞をドキシサイクリンで処理しGATA1sタンパクの発現を誘導したところ、巨核球関連遺伝子であるITGA2B、ITGB3、MPLの発現レベルの亢進が観察された。一方、GP1BA、GP5、GP9などの巨核球関連遺伝子の発現レベルに大きな変化はみられなかった。これらの結果から、GATA1sタンパクの高発現が巨核球系への分化を部分的に促進する可能性が示唆された。 当初、患者検体を用いてコロニーアッセイを行い、巨核球系への分化能や細胞増殖能、未分化性などの解析を行う予定であったが、芽球割合や白血球分画などの条件が患者によって大きく異なることから、導入する遺伝子以外の条件を一定に保つことができる細胞株を使った実験を優先して行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ドキシサイクリンでGATA1sタンパクの発現を誘導できるCMK11-5細胞を用いた解析から、GATA1sタンパクの高発現が巨核球系への分化を部分的に促進する可能性が示唆された。今後、ゲノム編集により種々の変異GATA1遺伝子を持つCMK11-5細胞を作成し、変異タイプとGATA1sタンパクの発現レベル、巨核球系への分化能や細胞増殖能、未分化性との関連について解析する予定である。特に、スプライシングの異常を引き起こす変異(SE)を持つクローンにおいて、GATA1sタンパクの発現レベルの亢進と巨核球系への分化の促進がみられるかどうかに着目している。予想通りSEタイプのクローンで巨核球系への分化の促進がみられた場合には、巨核球分化に重要な分子や経路の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
今回用いた遺伝子発現誘導システムにおける遺伝子発現誘導効果が予想よりも低く、遺伝子導入実験を繰り返す必要があった。次年度は、次に行う予定だったゲノム編集を用いた解析に着手できる見込みである。
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