2021 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンB6依存性てんかんの早期診断体制構築に向けたバイオマーカーの測定と探索
Project/Area Number |
21K07798
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
秋山 倫之 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10379737)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ビタミンB6依存性てんかん / バイオマーカー / 液体クロマトグラフィ / 質量分析 / 酵素活性測定 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンB6(VB6)依存性てんかんのバイオマーカー測定系の開発に関しては、当方で従来用いていたVB6測定系の拡張を試み、ピリドキシンリン酸酸化酵素(PNPO)欠損症のバイオマーカーであるピリドキサミンを含むVB6化合物の明確な分離・定量を目標とした。しかし、ピリドキサミンは頻用されるC18カラムでは保持が不十分であり、かつピリドキサミンリン酸との分離も不良であったため、従来の測定系の単純な拡張では分離・定量が困難と考えられた。そこで、塩基性物質の保持が可能な他のカラムを入手し適切な分離条件を探索しようとしたが、カラムの入手に時間を要し、一部のカラムによる検討を始めたところである。また、従来用いていた蛍光検出の他、質量分析による検出と定量の可能性も検討中であり、他のバイオマーカーとの同時測定の可能性も視野にいれている。ピリドキシン依存症(ALDH7A1欠損症)のバイオマーカーであるピペコリン酸、α-アミノアジピン酸セミアルデヒド、6-オキソピペコリン酸に関しては、標品のカラムでの分離と質量分析による検出条件がある程度定まったため、今後はサンプル前処理法の検討に移る予定である。 遺伝子解析については、サンガー法、リアルタイムPCR、全ゲノム解析を用い、ALDH7A1欠損症疑いの患者1例に対して点変異と遺伝子内欠失(正確な切断点まで確認)を見つけることができた。 酵素活性測定に関してはALDH7A1について検討中であるが、末梢血リンパ球での酵素活性が低く測定困難であることが判明し、他の細胞を用いての検討を予定している。 患者検体収集は継続しているが、VB6依存性てんかん患者の数がなかなか増えない状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ピリドキサミンのような高極性物質を保持可能なLCカラム数種の入手を試みたが、昨今の新型コロナウイルス感染症による影響のためか、納品に2か月以上を要することが多かった。そのため、分析スケジュールに遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
高極性物質を保持可能なLCカラム(PFPカラム、陽イオン交換カラム、HILICカラム等)を入手し、ピリドキサミンを含むVB6化合物の最適な分離・定量条件を確立する。これらのVB6化合物、およびピペコリン酸、α-アミノアジピン酸セミアルデヒド、6-オキソピペコリン酸の測定のため、臨床検体の適切な前処理法を検討する。また、臨床検体中のこれらの化合物の安定性も調べる。酵素活性測定に関しては、末梢血リンパ球以外の細胞を用いた測定法を検討していく。検体収集に関しては、学会や研究班を通じて呼びかけを行い集めていくようにする。
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Causes of Carryover |
分析スケジュールに遅延が生じたため、消耗品類への予算の使用量が想定よりも少なかった。今後の分析において必要な消耗品類、試薬類の購入に残額を用いる予定である。
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