2022 Fiscal Year Research-status Report
Basic research on development of novel therapeutic products for hemophilia A and thrombotic disorders based on the regulation of factor VIII function in the blood coagulation
Project/Area Number |
21K07804
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
野上 恵嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50326328)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 第VIII因子 / 血友病 / 凝固 / トロンビン / 第IX因子 / インヒビター / 遺伝子組換え蛋白 / 凝固機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.第Ⅷ因子-トロンビン制御から見た凝固・抗血栓薬開発の応用: トロンビンはFⅧのR372, R740, R1689を開裂して活性化させる極めて重要な反応系である。我々はFⅧのK1693N変異がその近傍のR1689開裂を抑制し、その結果、FⅧ活性化障害をきたすFⅧ分子異常症を報告した(日本血液学会総会2022)。P4’領域でトロンビン開裂に影響を及ぼす理由として、N変異が開裂領域に間接的な構造変化をもたらしたと推測するが、今までP4’変異でのトロンビン開裂異常の報告はなく、この変異体蛋白の構造機能を解析し、FⅧ開裂促進・抑制機序のより詳細な解明を現在行っている。
2.活性化第Ⅷ因子の活性安定性から見た凝固・抗血栓薬開発の応用: 高活性機能型FⅧの応用: FⅧa-FⅨa結合親和性を高め、内因性FX複合体活性を増強させる変異体の作製に成功した。本変異体はFⅧの安定性を保ち、活性化FⅧからのA2ドメイン解離を遅延させ、野生株に比してFⅧの凝固機能を2倍程度高め、F8KOマウスにおける尾切断出血モデルにおいて止血効果が野生株の4倍近い高凝固能を示した。最終報告論文は国際雑誌(Blood Advances,2023)に掲載された。
3.インヒビター結合親和性のアプローチからみた凝固薬開発の応用: インヒビターに対する高機能FⅧ蛋白の応用: インヒビターの主要エピトープ(A2,C2ドメイン)認識インヒビターの出現時でさえFⅧ機能を発揮するporcine-hybrid変異FⅧ蛋白の作製に成功し、インヒビター反応性をin vitro実験(血漿、全血)にて減弱させ、インヒビター存在下で凝固能を持続することがわかった。本結果を米国血液学会2022で発表した。F8KOマウスを用いたin vivo評価も現在、実施しているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第VIII因子の構造機能解析、他の凝固因子との相互作用解析を通じて、高機能活性型第VIII因子作製を実施していき、in vitro, in vivo系実験で実証していくことについては、当初の計画から考えると順調に進んでいると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記で述べたように、引き続き、研究を進めていき、最終年度にはさらなる研究の進展、そして最終報告を行っていく予定である。今回得た成果は、今後、血友病医療の新規の治療薬作製に応用されることができる可能性があり、さらに広げて進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
研究は順調に進んでおり、翌年度は試薬が少しかかる可能性もあり、翌年度分と合わせて、引き続き研究のための消耗品を購入していく予定である。
|