2022 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢・血清解析によるアレルギー疾患での腸管バリア機能関連バイオマーカー探索
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21K07815
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山出 史也 千葉大学, 医学部附属病院, 特任講師 (50636199)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アレルギー / 腸管バリア機能 / バイオマーカー / 新生児 / アレルゲン感作 / 食物アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギーハイリスク出生コホート研究(CHIBA study)参加者のうち、5歳までのアレルギー発症に関する情報が確認されており、かつ血清が測定に利用可能な被験者として145人を今回の検討対象とした。 臍帯血Zonulinの、アレルギー疾患発症/アレルゲン感作予測マーカーとしての検討では、ImmuneCAP法で測定した卵白特異的IgEがクラス3以上の高度卵白感作群で、対照群と比較して、有意に臍帯血Zonulin値が有意高いことを明らかとした。さらに、卵白感作に影響する因子を加えた多変量解析でも、臍帯血Zonulin値が、高度卵白感作と関連することを確認した。食物アレルギー発症は、出生コホート研究の特性上、食物経口負荷試験での診断は行っていないため、より診断特異度が高いと考えられる、”鶏卵摂取に伴う即時型症状の既往”という質問への回答にもとづいて検討した。食物アレルギー発症群は非発症群と比較して、臍帯血Zonulin値が有意高いことを明らかとした。なお、発症群の人数が12例と少ないため、多変量解析は行っていない。また鶏卵アレルギー発症群の中でその後鶏卵アレルギーの記載がない児では臍帯血Zonulin値が低い傾向にあった。血清I-FABP値はアウトカムと有意な関連は確認できなかった。 この結果は、腸管バリア機能マーカーである血清Zonulin値が、新生児期に高いことは、食物アレルゲン感作ならびに食物アレルギー発症リスクとなる可能性を示す結果である。 食物アレルギー患者は増加傾向であり、患者・家族のQOLに大きな影響を与えることから、現在、出生時あるいは生後早期に指摘可能な食物アレルギー発症リスク因子の検討が世界が進められているが、今回の結果は新規な情報であり、また、血清zonulinは腸管バリア機能マーカーと考えられているため、発症メカニズムについても関連を示唆する重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度研究計画では、① アレルギー疾患発症予測マーカーとしてのZO等の有用性を検討する、② アレルギー疾患の予後(寛解等)予測マーカーとしてのZO等の有用性を検討する、としていた。 令和4年度の研究実績で記載したように、ほぼ計画通り測定が進んでおり、おおむね順調に進展していると考えられる
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度においては、① アレルギー疾患発症群(アトピー性皮膚炎等)について、7歳時点で寛解群、非寛解群の、5歳時点での血清Zonulin値の解析を行い、アレルギー疾患予後予測マーカーとしての血清Zonulin値の有用性を検討する。② 腸内細菌叢解析データと、これまでに本研究で得られた知見について統合データ解析を行う予定としている。
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Causes of Carryover |
R5年度については、腸内細菌叢解析や血清Zonulin値の測定等を予定しているため。
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