2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K07818
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森宗 孝夫 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50895539)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生理的黄疸 / 核黄疸 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究はヒト化UGT1マウスを利用することで新生児黄疸が存在する生理的意義を確認することを目的としている。ヒト化UGT1マウスは自然に約10%が核黄疸を起こして死亡することが論文化されており、同マウスを当研究で用いて研究を開始したが、予想に反して核黄疸を起こして死亡するマウス個体が約80%以上生じたことから、同マウス系統が途絶える可能性があり、安定して次代を産生できるために半年以上もの期間を有した。なぜこのような差が生じたのか理由は不明であるが、何らかの環境要因が影響している可能性が考えられた。核黄疸を起こすマウスは生後14日前後に急激な血清ビリルビンが上昇し、その後低下に転じるが、生後3週から4週の間に死亡に至ることが確認できた。本研究の目的は中枢神経に新生児黄疸がもたらす影響を遺伝学的背景から探ることを主軸としているが、生存個体数が少ないために脳検体の確保が難しく、現時点で野生型マウスと生理的黄疸マウス、核黄疸マウスの核群での数が揃っていないためRNAseqの施行ができていない。個体数がある程度揃ったタイミングでRNAseqを行い、Bioinformaticsを用いて遺伝子や非コードRNAなどの発現パターンを確認し、どのようなメカニズムが黄疸が生じることで起こるのかを明らかにする。また、核黄疸を起こすマウスは多く回収できたため、脳切片検体はある程度多数確保できたため、まずは組織学的アプローチで今までの文献上にみられるような変化が生じるかを確認している。RNAseqの結果が出た時点で、生理的黄疸ないし核黄疸でkeyとなる要素に対し、組織学的評価を行う方向である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績にも記載のように使用しているヒト化UGTマウスの系統が、知られている以上に核黄疸を起こして死亡したため、系統を途絶えさせないために安定した世代を供給するために時間を費やすこととなった。このため、各研究の主軸となるマウス検体を用いた実験自体が遅れることとなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型、生理的黄疸マウス、核黄疸マウスの3群での脳検体を揃え、RNAseqを優先して行う。結果をBioinformaticsを用いて解析し、それぞれの群間で変動の大きいcodingないしnon-coding elementを抽出する。組織学的検討自体は開始しているため、脳検体をそろえることで正確な組織学的評価を行うこととする。また、核黄疸はヒトにおいて主体として基底核が障害されることが多いが、MRIによる至適な画像的評価の検討ができていないことも知られているため、可能であれば4TMRIを用いて頭部MRIを日齢とビリルビン変化に応じて撮像しデータを蓄積することも検討している。
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Causes of Carryover |
最も費用がかかるRNAseqの施行ができていないことから前年度の費用が少なかった。今年度は検体を揃えて施行する予定である。
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