2023 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞由来ミクログリア―ニューロン3次元共培養系による自閉症の病態解析
Project/Area Number |
21K07819
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橘 雅弥 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 准教授 (10722952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 真 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 教授 (10222019)
毛利 育子 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
早田 敦子 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (70390812)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / iPS細胞 / ミクログリア / プロスタグランジンD2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自閉スペクトラム症のミクログリアに発現する造血器型プロスタグランジンD合成酵素(HPGDS)とその産生物であるプロスタグランジンD2(PGD2)に注目して、HPGDS-PGD2経路の神経発生とミクログリアの機能への影響に関して、ヒトiPS細胞由来のミクログリアにおけるHPGDSの発現量の変化が、ニューロンの形態・シナプス形成および刈込に及ぼす影響を明らかにすることを目的として研究を行った。令和5年度は、前年度課題であった、iPS細胞からミクログリアへの文化効率の不安定さを解消し、Tet-Onシステムを備えたPiggybac vectorの導入により、HPGDS強発現ミクログリアを作成して細胞の機能を検討した。しかしながら、iPS細胞由来のミクログリアの増殖効率が悪く、各実験に必要な数の細胞を得るのに時間を要した。このため、バックアップとして計画していたHPGDSおよびPGD2レセプター(DP1)のそれぞれをノックアウトしたマウスを用いた動物実験を並行して進めた。ミクログリアのprimary cultureを行い、HPGDS-PGD2経路の細胞特性への影響を検討した。HPGDS-KOマウス由来のミクログリアでは、野生型に比べて、細胞増殖能や細胞viability には差が見られなかったが、貪食能の亢進が認められた。このことから、HPGDS-PGD2経路がミクログリアの貪食能の抑制・制御に関与している可能性が示唆された。自閉スペクトラム症においては発達早期にミクログリアの貪食によるシナプスの刈り込みが障害されることが指摘されており、HPGDS過剰発現によるミクログリアの貪食能の抑制が、自閉スペクトラム症の一部における病因となっている可能性がある。ヒトiPS細胞でも引き続き検討を行っていく。
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