2021 Fiscal Year Research-status Report
胎盤BDNF/TrkBシグナルを介した胎児脳発達のモニタリング機構
Project/Area Number |
21K07828
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
後藤 優美子 東海大学, 医学部, 講師 (50624574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 人士 東海大学, 医学部, 教授 (10212937)
亀谷 美恵 東海大学, 医学部, 准教授 (50338787)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チロシンキナーゼ受容体TrkB / 胎盤 / 母児間クロストーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「胎盤におけるBDNF/TrkBシグナルを介した母児間のクロストーク、すなわち胎盤のBDNF/TrkBシグナルを介した胎児脳の発達レベルのモニタリング機構について明らかにすること」を目的とする。 2021年度は、インフォームドコンセントを得た胎盤について免疫組織化学、抽出RNAを用いたリアルタイムPCR、抽出タンパクを用いたWestern blottingを行なった。免疫組織化学およびリアルタイムPCRではTrkB分子構造を認識する抗体、プライマーをそれぞれ用いた。これにより、胎盤におけるTrkBの発現とその局在および発現するTrkBの分子構造を明らかにした。 具体的には、免疫組織化学では、妊娠初期に絨毛・脱落膜で完全長型TrkBタンパクが多く観察された。リアルタイムPCRでは、特に妊娠初期で胎児側・母体側ともにTrkB mRNA発現が多く、妊娠32週から37週にかけてTrkB mRNA発現が減少する傾向が見られた。TrkBドメイン別の発現については、細胞内チロシンキナーゼドメインであるExon22-23は、胎児側・母体側ともに妊娠初期に検出され、妊娠後期では発現が低下した。Western blottingで妊娠初期で胎児側・母体側ともに完全長型TrkBタンパクの発現が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、インフォームドコンセントを得た胎盤について免疫組織化学、抽出RNAを用いたリアルタイムPCR、抽出タンパクを用いたWestern blottingを行なった。免疫組織化学およびリアルタイムPCRではTrkB分子構造を認識する抗体、プライマーをそれぞれ用いた。これにより、胎盤におけるTrkBの発現とその局在および発現するTrkBの分子構造を明らかにした。一方でBDNFについても同様の解析を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度:1.胎盤組織より分画した細胞について、RNA・タンパク質を抽出し、リアルタイムPCR・Western blottingによりBDNF・TrkBの発現量とTrkBアイソフォームの種類を明らかにする。2.臍帯静脈血および臍帯動脈血から血漿を分離し、BDNF濃度をELISAにて定量する。3.上記1.および2.について正常妊娠または胎児発育不全での比較解析を行う。
2023年度:4.TrkBを発現する絨毛細胞株JEG-3を用いて、BDNF分泌量・TrkB発現量がBDNF添加量によって変化するか、TrkBアイソフォームの発現の違いによりpositiveまたはnegative feedbackに変化するかなどの機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
Covid19の状況により、学会参加に伴う旅費が発生しなかったことや、共同研究者と共同利用可能な消耗品・試料を利用したため物品費が少なかったため次年度利用額が生じた。次年度は、学会参加、学会発表に伴う費用、人件費、物品費などに主に予算を使用する予定である。
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