2023 Fiscal Year Annual Research Report
内皮型一酸化窒素合成酵素に着目した下痢関連溶血性尿毒症症候群の病態解明研究
Project/Area Number |
21K07842
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
忍頂寺 毅史 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (10568950)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 溶血性尿毒症症候群 / 内皮型一酸化窒素合成酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き腎血管内皮細胞培養を実施した。しかしながら結局のところ確立できなかった。またコロナ下でD+HUSの発生も少なくヒトの血球検体もわずかにしか手に入らず研究できる検体量ではなかった。そのため最終年度である本年度は皮膚の血管内皮細胞を中心的に使用して実験を行った。 まずVEGFの刺激によりeNOSが活性化されるかの検証を行った。細胞内のシグナル伝達も重要と考えPLCγも同時に測定を行った。その結果VEGF-R2~PLCγ~eNOSの経路によりeNOSがリン酸化することが確認できた。次に内皮細胞間接着をつかさどるVE-cadherinのリン酸化を見ることでeNOSが細胞間接着をゆるめ血管透過性亢進に寄与しているかの確認を行った。その結果eNOSが間接的にVE-cadherinのリン酸化部位を活性化して血管内皮間の細胞接着をゆるめていることが分かった。次に共同研究者に依頼し実際の血管透過性がマウスで行われているか確認したところ、血管透過性がVEGF投与によっておこることが明らかとなった。免疫染色を使用した実験系にても同様に確認できた。 以上の研究により血管内皮細胞内のVEGFの刺激により血管内皮が接着因子に作用することにより血管透過性を起こすことが明らかとなった。残念ながらeNOSあるいはVEGFを実際に阻害する実験が行えなかったが、今後の課題になる。この分野では既にマウスに使えるeNOS阻害薬や人に臨床応用されている抗VEGF抗体製剤があるため、今後はヒトへの臨床応用が期待される。
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