骨髄由来CD271陽性細胞の幹細胞性維持機構の解明と新規生物学定義の確立

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 21K07843
• Research Institution: Shimane University
• Principal Investigator: 宮本 憲一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00424185)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2025-03-31
• Keywords: 間葉系幹細胞 / CD271

Outline of Annual Research Achievements

間葉系幹細胞（MSC）は骨・軟骨再生や炎症抑制を目的として、多くの医療分野で注目される体性幹細胞であり、国内外でその臨床研究が盛んに行われている。その反面、MSCは未だ幹細胞としての生物学的特徴の理解が乏しく、MSCを特徴付ける分子マーカーなども不明瞭なままである。そこで、本研究課題では、これまでの研究報告からMSCのマーカー分子として着目されているCD271を指標にヒト骨髄由来MSCの生物学的特徴を明らかにすることを目的とした。
本年度は、市販のヒト骨髄由来単核球細胞に含まれるCD271陽性細胞の割合を解析した。しかし、昨今の新型コロナウイルス流行により研究遂行に必要なヒト骨髄由来単核球細胞の入手が困難になったため、その後の解析に遅れが生じている。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

骨髄中の単核球細胞には、多くの血液系細胞が含まれている。間葉系幹細胞は非血液系の幹細胞であると定義されていることから、血液系細胞マーカーであるCD45、CD235a、および血管内皮細胞マーカーであるCD31抗体を用いて、フローサイトメトリーによりそれらマーカーが陰性を示す細胞集団中のCD271陽性細胞の割合を調べた。その結果、CD45、CD235a、およびCD31陽性細胞を除かなかった場合に比べ、CD45、CD235a、およびCD31陽性細胞を除いた細胞集団中のCD271陽性細胞の頻度がより高かった。このことから、骨髄中のCD2271陽性細胞のほとんどは非血液系の細胞であると言える。

Strategy for Future Research Activity

フローサイトメトリーを用いてCD271陽性細胞を単離、培養を行う予定である。これまでの研究報告、および所属研究室での研究結果から、CD271は培養中に発現がほとんど消失してしまういことが知られている。このことから、培養中のCD271の発現維持にはリガンドによる刺激が必要であろうと推測されるため、CD271のリガンド存在下で培養し、その発現レベルを解析しながらCD271陽性細胞の培養に最適な培養条件を検討する。

Causes of Carryover

これまでの所属研究室での経験から、ヒト骨髄由来単核球細胞はドナーの年齢がより若い方がCD271陽性細胞の頻度も高い傾向にある。しかし、昨今の新型コロナウイルスの流行により研究遂行に必要なヒト骨髄由来単核球細胞の入手が困難であった。したがって、残った次年度使用額は今年度分と合わせて、研究材料であるヒト骨髄細胞やCD271陽性細胞の培養、解析に必要な試薬等の購入に当てる。