2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of neurological disoders in neonatal jaaundice
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21K07844
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大西 新 島根大学, 医学部, 客員教授 (00507014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 茂文 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50294369)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | BIND / 核黄疸 / ビリルビン / 統合失調症 / ADHD |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児期の強いビリルビン代謝異常は重大な脳神経障害(核黄疸)を起こすことから、現在、出生時にビルルビン代謝に異常があった場合、光線療法などの治療が行われている。近年、核黄疸を起こさない程度のビリルビン代謝異常であっても脳神経発達に障害を与え、幼児期から思春期後期にADHDや統合失調症などの精神疾患発症リスクになることが疫学研究で示唆されており、Bilirubin Induced Neurological Disorder; BINDという新たな疾患概念が提唱されている。しかしながら、このBINDの病態生理は未だ不明な点が多いため、有効な治療法が確立していない。そこで本研究では、モデル動物(Gunn rat)における脳機能障害を詳細に解析し、治療薬候補の探索を行った。Gunn rat は先行研究において統合失調症やADHDモデル動物と類似した行動障害が観察されている。特に、オープンフィールド(OP)テスト、ソーシャルインターラクション(SI)テストでの行動障害が顕著である。そこで、この2つの行動障害の背景にある脳機能障害を探索した結果、セロトニンの過剰伝達が関係していることを発見した。更に、セロトニン伝達亢進を抑制することが出来る5HT1A/Bパーシャルアゴニスト(エルトプラジン)をGunn ratに皮下投与を行いOPテスト、SIテストを行った結果、その行動障害が大きく改善することを明らかにした。今回新たに我々は有力なBINDモデルであるGunn ratの認知行動障害の背景にはセロトニンの過剰伝達という生理学的脳機能障害があることを明らかにし、この障害メカニズムに基づきエルトプラジンが当該疾患に奏功する可能性を示した。エルトプラジンはヒトでの安全性が確立している低分子化合物であることから、今後シームレスな臨床応用研究も可能になるのではないかと期待される。
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