2021 Fiscal Year Research-status Report
血友病A患者・保因者の第Ⅷ因子遺伝子型に基づく病態解析と新規個別化治療戦略の開発
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21K07856
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Research Institution | National Hospital Organization Osaka National Hospital Institute for Clinical Reserch |
Principal Investigator |
矢田 弘史 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (30635785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 恵嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50326328)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血友病A / 第VIII因子 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
血友病A患者の凝固機能及びインヒビターの発生機序は未だ不明な点が多いが、FVIII遺伝子 (F8) 変異との関連が注目されている。特にFVIII活性の残存する中等症・軽症患者では、F8変異に伴い変化した自己のFVIII(変異FVIII)分子の凝血学的及び免疫学的特性がインヒビター発生と深く関わると考えられる。一方、血友病A保因者は、父方母方由来の二つのF8を有し、それぞれから生じ得る変異FVIIIと正常FVIIIが混在するために、複雑な病態を呈し、止血治療を要する重篤な出血症状を伴う場合がある。本研究は、血友病A患者及び保因者を対象として、① F8変異の同定と全血凝固機能やトロンビン生成能などを含めた凝血学的特性の解析を行い、②F8遺伝子型及び凝血学的特性に基づく病態とインヒビター発生機序を解明するとともに、さらに、特に中等症・軽症血友病Aについては、③患者個々のもつ変異FVIIIの特性を応用した新規個別化止血治療戦略の確立を目指すものである。
本年度は、軽症血友病A患者の包括的凝固機能についての解析を行った。軽症血友病A患者15人(中央値FVIII:C 13IU/dL、年間出血回数中央値0.3)の全血凝固能を測定した結果、軽症血友病A患者の全血凝固能は、代表的なパラメータであるCT+CFT、MCF、alphaで評価すると、それぞれ中央値は、2,077sec、47mm、29°であり、健常対照値(CT+CFT:1,235sec、MCF:43mm、alpha:42°)とは異なるが、バイスペシフィック抗体(エミシズマブ)による治療を受けている血友病A患者と同等であることが分かった。この成果について、原著論文にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年4月1日付での異動に伴い、研究代表者が所属する新たな研究機関での実施体制の準備を整える必要性が生じ、当該研究機関における倫理審査及び研究機器・試薬導入のために当初想定外の時間を要し、遺伝子解析等を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が所属する新たな研究機関における実施体制準備が整い次第、速やかに研究対象者への説明同意を進行し、対象者から得た試料を用いた凝固機能測定及び遺伝子解析を行い研究遂行する。in vitro調整試薬を用いた凝固機能測定と合わせて解析を進めていく。
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Research Products
(1 results)