2021 Fiscal Year Research-status Report
人工子宮装置を用いた胎児発育遅延モデルにおける脳障害の解析
Project/Area Number |
21K07859
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
埴田 卓志 東北大学, 大学病院, 講師 (30400360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 昌利 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00451584)
佐藤 信一 東北大学, 大学病院, 助手 (30770359)
渡邊 真平 東北大学, 大学病院, 助教 (70509413)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胎児発育遅延 / 脳障害 / 急性循環変動 / 人工子宮 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎盤機能不全や臍帯付着部異常などによって子宮内で胎児が慢性低酸素に曝されると,胎児はその体重増加が停滞して胎児発育遅延を発症する.一方,胎児では子宮内で低酸素に曝されると脳の血流量を増加させる“brain sparing”によって酸素供給を維持される機構が働いている.しかし,このように胎児は”brain sparing”によって酸素供給が保たれているにもかかわらず,多くの臨床研究で胎児発育遅延は脳室周囲白質軟化症(PVL)や知的障害,発達障害などの脳障害との関連性が示唆されている. 本研究では,これらの脳障害の原因として,慢性低酸素に合併した反復する急性循環変動に着目する.我々が開発した人工子宮装置を応用,人工胎盤回路の酸素濃度及び回路流量を調節して胎児慢性低酸素モデルを作成,さらに臍帯圧迫を模した反復性の循環変動を加えることにより脳障害を誘導し,その特徴をMRIならびに病理学的解析によって明らかにする.胎児発育遅延に起因する脳障害の機序を解明することで,臨床における胎児管理への応用が期待される. 令和3年度は妊娠90日の妊娠ヒツジ胎仔(ヒトの妊娠24週相当)6頭を用いての実験を計画したが,頸動脈に装着して脳血流を測定する超音波血流計が器材の不調のため実動物を用いた実験が行えなかった.一方,本研究では我々の実験室で初めてホルマリンで還流固定したヒツジ脳組織を用いてMRI解析を行う.そのため,我々の実験室に保管してあったヒツジ胎仔のホルマリン固定脳を用いてMRI装置の撮影条件の最適化を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度は妊娠90日の妊娠ヒツジ胎仔(ヒトの妊娠24週相当)6頭を用いての実験を計画したが,頸動脈に装着して脳血流を測定する超音波血流計が器材の不調のため実動物を用いた実験が行えなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,頸動脈の装着する超音波血流計の設定を最適化し,統計学的に解析可能な数のデータを取得できるように実験を計画する.実験で得られたヒツジ胎仔脳はMRI撮影を行ってのちに組織学的解析に供する.MRI画像では脳皮質,subplateの容量計測,病理組織ではHE染色並びに各種免疫染色(GFAP, IBA-1, Olig-2, Nurr-1, 4HNE)を用いて,脳白質損傷,subplate損傷,酸化ストレスについて検索する.
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Causes of Carryover |
令和3年度は妊娠90日の妊娠ヒツジ胎仔(ヒトの妊娠24週相当)6頭を用いての実験を計画したが,頸動脈に装着して脳血流を測定する超音波血流計が器材の不調のため実動物を用いた実験が行えなかった.そのため,必要とした薬品や消耗品代金が少なく残額が生じた.次年度は当初の予定よりも実験数を増やす必要があるため,生じた残額はその必要物品の購入費とする.
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