2023 Fiscal Year Research-status Report
Shank3欠損マウスと患児オルガノイドを用いた視床・感覚路発達メカニズムの解析
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21K07865
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
奥園 清香 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (60884450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 康成 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10380396)
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350) [Withdrawn]
康 東天 九州大学, 医学研究院, 教授 (80214716) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | autism spectrum disorder / 自閉スペクトラム症 / Shank3 / 感覚過敏 / てんかん / 視床皮質路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自閉スペクトラム症(ASD)モデルにおける感覚過敏のメカニズムを解析し、新しい治療ターゲットを見いだすことを目的とする。 本年度、ASDモデルとして知られる、Shank3a/bノックアウト(KO)マウスを用いた実験と、培養細胞でのShank3a/bアイソフォームのN末端領域(NT-Ank)の機能解析を進めた。生後4週までのShank3a/bノックアウトマウスを用いて、脳組織の免疫蛍光抗体法、脳内mRNAおよびタンパク質の発現解析を行い、昨年度、1) Shank3a/bアイソフォームは、生後4週までに視床内で動的発現変化を示すことを見出し、2) 視床内のパルブアルブミン発現が低下し、3) カイニン酸による薬剤誘発けいれんに対して、Shank3a/b-KOマウスは高い感受性を示すことを明らかにした[Okuzono S, Neurosci Res 2023]。 さらに、この分子メカニズムを明らかにするために、Shank3a/bアイソフォームのN末端領域(NT-Ank)を培養細胞に発現させ、免疫沈降-質量分析法を用いてNT-Ank結合分子を網羅的に解析した。その結果、Shank3と協調的に脳発達に関わると考えられる分子群とその下流シグナルを見出した。現在、本研究結果を学術誌に投稿中である。 てんかんはASD患者の30-40%程度に合併し、いずれにも大脳皮質・皮質下ニューロンの易興奮性が関与する。また感覚過敏は、ASD患者の90%以上に認められる。 本研究は、ASD罹患児が示す、感覚過敏と易けいれん性の両者に共通する分子メカニズムが存在することを示唆する
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルの解析は、既に習得済の実験手技を用いておこなわれておりマウス管理・解析共に特に問題なく行われている。 細胞を用いた遺伝子機能解析の実験においても、既に研究室内で確立された手技手法を応用する形で解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、まずは得られた知見を元に、ASDモデルマウスにおける分子経路の変化についてさらに解析を進めたい。また、iPSによるヒト疾患モデルの作成を検討しており、現在他の神経疾患関連でiPS由来脳オルガノイドを作成しており、技術面での応用を目指して実験を行っている。
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Causes of Carryover |
現在投稿中の論文作成において、査読者からの指摘により追加実験を行うため。
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Research Products
(3 results)